自動運転タクシーを開発するGM傘下のCruise(クルーズ)はこのほど、自社開発の自動運転EV(電気自動車)「Origin(オリジン)」を使い、2023年からドバイで自動運転タクシーの運行を開始すると発表した。米メディアなどが報じた。
報道によれば、当初は使用台数とエリアを限定してサービスを提供するが、2030年には4,000台まで運行規模を拡大する予定のようだ。
自動運転タクシーのサービス展開にあたり、Cruiseはドバイ道路交通局(Roads and Transport Authority)=RTA=と契約を結んでおり、2029年までドバイの自動運転タクシーと配車サービスの市場を独占する形となる。
RTAは2030年までに交通手段の25%を自動運転に転換するという戦略「Dubai Autonomous Transportation Strategy」を策定しており、人的ミスによる交通事故の減少、炭素排出量や輸送コストの削減、環境問題の緩和などを目指している。
■ハンドルもペダル類もない「Origin」で運行
Cruiseが2023年からドバイで運行させるOriginには運転席という概念がなく、ハンドルやペダル類も設置されていない。つまり、緊急時であっても人間による対応を前提としない自動運転レベル4(高度運転自動化)以上の技術で、無人タクシーサービスを展開することになる。
完全無人の自動運転タクシーサービスは、米Alphabet傘下のWaymoが2020年10月から限定的に提供しているが、Waymoで使用されている車両は従来の乗用車を自動運転用に改造したもので、ハンドルやペダル類がついている。この点が、Cruiseがドバイで運行するサービスと決定的に異なる。
ちなみにOriginでは対面式シートが採用され、広々とした車内にはUSB端子やモニターなども備えられている。ドバイでの運行開始後は、Originは単なる移動として活用されるだけではなく、「移動兼会議」といった用途でも利用されることが考えられる。
■先行するWaymoとの距離を詰められるか
Cruiseは2019年7月、アメリカ国内における自動運転タクシーサービスの提供を技術的な課題によって延期すると発表し、先行するWaymoに遅れを取っている印象だ。しかし、世界有数の観光地でもあるドバイ市場を独占することで、Waymoとの距離は確実に詰まりそうだ。
【参考】関連記事としては「GM Cruise、ハンドルなしオリジナル自動運転車を発表!」も参照。