中国自動車メーカーの「ビッグ5」の1社である上海汽車集団(SAIC)が、アリババと共同で新しいプレミアムEV(電気自動車)ブランド「IM」を発表し、その内容に注目が集まっている。
NVIDIAの最新のコンピューティングプラットフォームを採用することで、自動駐車機能などの自動運転機能を搭載するほか、車内でのパーソナライズ機能やOTA(Over the Air)による継続的なソフトウェアのアップデートを実現し、新時代のEVという趣だ。
■セダンとSUV、注目の最新技術が詰まったプレミアムEV
今回SAICが発表したブランド「IM」は「Intelligence in Motion」の略であり、最新の自動車コンピューティングによる「インテリジェントな頭脳を持つ」ことに重点を置いていることを表している。
同ブランドの商品ラインナップはセダンとSUV(多目的スポーツ車)の2種類となっており、セダンは2021年4月の上海モーターショーで受注を開始し、SUVは2022年の受注開始を予定している。
今回のラインナップには蓄電容量93kWhのバッテリーが標準装備されており、115kWhのバッテリーが装備されているプレミアムバージョンもある。後者の場合、セダンの航続距離は最大約874キロになると報告されている。ワイヤレス充電機能も備えているようだ。
■テスラを意識し本格的OTAを搭載か
自動運転を実現するIMのコンピューティング技術を支えるのが、米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)の自動運転車用チップ「Orin」だ。毎秒254兆回の演算能力を持つチップによって、超高速・高性能な処理を実現するという。
また報道発表では「ドライバーや同乗者の体験をパーソナライズするためのスマートフォン機能を搭載し、⾞内にスマートで快適な空間を創り出しています」としている。
本格的なOTA機能を搭載している点にも注目だ。OTA機能を搭載したEVといえば米テスラの車両などが思い浮かび、テスラを意識したブランドであるとも言えそうだ。
■中国でEVブランドの競争が激化
2020年は中国国内の自動車メーカーによる新EVブランドの発表が相次いだ。東風汽車(Dongfeng Motor)は「嵐図」を2020年7月に発表し、同年10月には北京汽車集団(BAIC)がカナダの自動車部品大手マグナと共同で「ARCFOX」を立ち上げている。
中国におけるEV競争、そしてEVに搭載される新機能や新技術の中身に、今後も注目が集まりそうだ。
【参考】関連記事としては「中国、自動運転車の普及爆速化!?2025年には「販売の半数」、注目の工程表」も参照。