自動運転技術の開発を進める米アップルは、自動運転技術の開発やAI(人工知能)分野の開発におけるソフトウェアエンジニアの募集を行っている。
アップルで自動運転技術やAIの分野でのエンジニアとして働く場合には、基本的には勤務地は米国にあるサンタクララ(カリフォルニア州)の研究施設となる。日本国内には販売スタッフなどの求人も出しているが、アップルでエンジニアとして働きたいと思えば、現時点では渡米が必要となるだろう。またアップルは原則的に新卒採用は行っていない。中途採用で優秀な人材を確保している。
この記事では特に自動運転や自動車などと関わりが深い募集案件の概要などを説明していく。ちなみにアップルの最新の採用情報は同社の「求人検索ページ」から確認が可能だ。
記事の目次
■自動運転車の技術開発に関する求人
アップルは自動車関連の求人広告を定期的に自社サイトで掲載している。
例えばこれまでの募集案件では「Obj-C」「Swift」「C ++」のプログラミング言語を扱えることを前提としつつ、募集資格はさまざま定められているものの、自動車業界における経験やその年数に関しては言及されていなかった。コミュニケーションスキルやデザインの創造性、熱意なども優先されている。
実際の業務としては、既存のアプリケーションに新しい機能を実装し、より複雑なアプリケーションを開発することとされていた。
■自動運転車における関連サービスに関する求人
アップルが募集している自動車関連の求人として、CarPlayチームに参加するための求人がある。CarPlayとは、車内でアップルデバイスを使用するためのシステム。運転しながらでも音声入力や音声操作ができ、自動運転車にとって重要な技術となる。
募集要項の中では、オペレーティングシステム(OS)について深い理解や優れたコミュニケーションスキルがあることが必要とされている。また製品に愛情を注ぐことができ、細部までこだわることができる探究心も必要とされている。
「C」「C ++」「C #」「PythonまたはSwift」などプログラミング言語への理解も求められる。また、必要な学歴はコンピュータ・サイエンス、コンピュータエンジニアリング、電気工学、もしくはこれらと同等の学識の博士号を持っている必要がある。
■Siriチームに関する求人(音声認識技術)
アップルのSiriチームに加入すると、音声技術やAI(人工知能)に深く関わることになるだろう。Siriの音声認識技術は自動運転車やコネクテッドカーへも応用されて搭載されていくものと見られており、スマートフォンだけではなくモビリティ関連技術としても重視されている。
応募資格には、高いコンピュータ・サイエンスの技術やプログラミングスキルを保有していることが挙げられている。また、設計スキルにおいても高いレベルを求められるようだ。
■アップルに引き抜かれた有名エンジニアたち
米アップルも他のアメリカ企業と同様、他社の幹部級エンジニアやスタッフを引き抜きながら、自社の技術開発体制を強化してきた。
過去には米グーグルのAI部門のトップであるジョン・ジャナンドレア氏を引き抜いたことが話題となった。ジャナンドレア氏は、グーグル社内でも高いマネジメント力を持つとして重宝されてきた人物で、アップル入社後には世界中に16人しかいないとされるティム・クック最高経営責任者(CEO)の直属の部下となっている。
また、グーグルの自動運転開発部門であるウェイモ社でシニアエンジニアとして働いていたジェイミー・ウェイド氏を引き抜いたことでも注目を集めた。ウェイド氏は、アメリカ航空宇宙局(NASA)の研究室で勤務していた経歴があり、火星探査車を開発した人物としても知られる。
【参考】関連記事としては「米アップル、Googleの自動運転エキスパート女性を獲得」も参照。
■中途入社の人材が支えるアップルの技術力
現在のアップルを支え、成長させているのは、多くの中途入社の優秀な人材たちだ。主力事業のスマホやPC事業に加え、自動運転やAI部門に関しても同様のことが言える。
日本人としてアップルに入社するにはまず相応の英語力が必要になるが、ぜひ具体的な求人などを調べてみてはいかがだろうか。いま世界のトップ企業が何を考えているのかも何となく見透かせるはずだ。
【参考】関連記事としては「アップル、自動運転事業を本格化 カリフォルニアで試験車両55台、特許取得も加速」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) May 21, 2018