2016年創業の米スタートアップ企業が提供するライドシェアサービス「Safr」が、アメリカ国内で未曾有の流行をみせている。原則的に女性向けのサービスとして展開され、運転手にも乗客にも相手の性別を限定する「男女選択権」が与えられ、男性運転手からの性的犯罪から逃れようと、女性から絶大な支持を得ている。C2C(個人間取引)サービスは男女別にすべきか——。Safrが世界的なジェンダー的議論を巻き起こしている。
Safrを2017年にローンチしたのはSafeher社。アメリカ北東部マサチューセッツ州の州都ボストンでサービス提供を開始し、女性向けライドシェアサービスとして絶大な人気を集めていった。中東パキスタンでも既にこのサービスが提供されており、男性からの性犯罪を恐れる女性から支持を集めている。
Safrは運転手として女性だけではなく男性も一定程度は雇用しているが、運転手も乗客も相手の性別選択権を持つ。運転手を採用する際には厳格な身元調査が行われ、アプリで簡単に登録できるわけではない。業界水準以上の報酬を与え、サービスの質が低下しないよう徹底している。車内を24時間のリアルタイム監視し、提供企業側が常に状況を把握できるようにした。緊急時用に「Safr SOSボタン」も用意され、乗客もしくは運転手はSafrか警察へ通報することができる。
Safrが未曾有の流行をみせている背景には、他社のライドシェアサービスを利用した女性客の中には、身の危険を感じた体験をしている人も多いことが背景にある。アメリカでは過去に米ライドシェア業界2位のLyftの男性運転手による女性客4人の連続暴行事件が発生した。中国最大手・滴滴出行(DiDi Chuxing)のサービスでは、これまでに2度の強姦殺人事件が起きている。
男女選択権をライドシェアサービスの標準オプションとすべきなのか、今後より一層議論が深まるとみられる。ライドシェアや民泊などのC2Cイノベーションがいま、岐路に立っている。
【参考】滴滴出行の女性客が殺された事件については「中国ライドシェア業界最大手DiDi、2度目の乗客強姦殺人事件でサービス一時停止 教訓活かされず|自動運転ラボ 」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 28, 2018