自動運転の車載向け開発で競争過熱 組込ソフトウェア、2030年に2兆円市場 専門エンジニアの求人・需要増も

デンソーやパナソニックも開発強化



IoTやAI(人工知能)開発とともに第4次産業革命が加速する中、組み込みソフトウェアの市場が伸びている。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の調査によると、2030年には世界市場規模が約2兆円に達する見込みで、このうちの4割を車載分野が占める。


NEDOが2016年に開催したセミナー資料によると、組み込みソフトウェアに関係する製品の市場規模は増加傾向にあり、2014年の国内市場規模は796億円、世界市場規模は1兆1352億円で、2030年には世界市場が1兆9903億円に達すると予測している。分野別では、車載分野が全体の約40%と最も高く、2014年(世界市場)は4613億円、2030年予測(同)では8088億円となっている。

今後、製品価値に占める組み込みシステムの重要性は増加し、自動運転やUAV(無人航空機)など、高機能で高信頼性が要求されるサービスの需要拡大や高機能暗号を用いた新規サービス需要などが見込まれるという。

■デンソーは東芝との資本提携で競争力強化

デンソーは、車載製品向け組み込みソフトウェアの開発強化に向け、2018年1月に東芝デジタルソリューションズと東芝情報システムと資本提携したことを発表。自動車業界を取り巻くパラダイムシフトを勝ち抜くための競争力を強化し、さらなる事業拡大を目指すとしている。

【参考】詳しくはデンソーのプレスリリース「車載製品向け組込ソフトウェア開発強化に向けて資本提携に関する契約を締結」を参照。


■パナソニックは次世代コックピットシステム開発も

一方、オートモーティブ事業を高成長事業と位置付けるパナソニックは、独ソフトウェア開発会社のオープンシナジー社を2016年に子会社化するなどし、マルチメディア機能と運転者支援機能を統合した次世代コックピットシステムの開発などに取り組んでいる。

【参考】詳しくはパナソニックのプレスリリース「パナソニックが独・ソフトウェア開発会社の「オープンシナジー社」 の全株式を取得」を参照。

■富士ソフト「求められる役割が変わってきている」

2000社を超える組み込み開発に携わっている富士ソフトは、組み込みソフトウェアに求められる役割も徐々に変わってきているとし、今後は個々の機能と全体としての挙動を統率する処理が重要度を増すものと考えている。市場規模はますます大きくなり、組み込みを専門とするエンジニアの求人も増すと予想している。

■三者三様のシェア獲得戦略

デンソー、パナソニック、富士ソフトともに三者三様の戦略で組み込みソフトウェア市場でのシェア獲得に前のめりだ。市場規模が伸びていく中で各社がどれだけ存在感を高められるのか、注目していきたい。


【参考】自動運転車の市場は世界的にも注目されている有望市場の一つだ。関連ニュースとしては「自動運転車市場、2030年に「420万台」 主要市場は「アメリカ・中国・日本」|自動運転ラボ 」も参照。


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