テスラ ハンドルなし「サイバーキャブ」、年内にも一般顧客向けにも販売開始へ 450万円の格安で

個人はいつ買えるのか



出典:Tesla公式サイト

米EV大手テスラ(Tesla)が、ハンドルもペダルもない自動運転タクシー専用車サイバーキャブ(Cybercab)を、年内に顧客へ届ける考えを示した。現地時間10月21日の決算説明会で明らかにした。しかも目標価格はなんと3万ドル以下、つまり1ドル150円換算で450万円という驚きのリーズナブルな価格だ。ただし現時点では「目指している」段階で、現在の生産分は全車が自社の自動運転ロボタクシー網に回っている。個人が買える状況ではない。

サイバーキャブは2026年2月に初号車が完成し、9月3日から米テキサス州オースティンで有料の公開運行が始まっている。イーロン・マスクCEOは、大半がテスラ自身の保有で、Transport as a Service(サービスとしての移動手段)として運用されると述べた。日本では道路運送法の制約もあり、個人が購入して運行収入を得るのは難しい状況だ。


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■ハンドルなしの自動運転ロボタクシー「サイバーキャブ」、テスラが年内の顧客納車を目指す

モラビー氏は決算説明会で「年内に顧客へサイバーキャブを届けたい」と述べ、同時に、テキサス州の工場で進む生産は現時点で全車が自社のロボタクシー向けだと明かした。現地メディアも、Xのポストで、年末までに顧客へ届ける計画と、現在は全台が自社ロボタクシー網に入っていることを伝えた。

納車は小規模で始める方針だ。モラビー氏は、納車の物流、所有の形、運行車両群(フリート)の管理、自社の管理外で自動運転車を動かす経験を積みながら進める考えを示した。今後は完全に自動で走る専用設計の車を顧客へ主に届けていくとし、サイバーキャブはその第1弾という位置づけだ。

車両は2人乗りで、ハンドルもペダルもない。2026年2月に初号車が完成し、9月3日からオースティンで有料の公開運行が始まった。米経済メディアCNBCによると、テキサス州の自動車局のデータでは、無人運転が認められたサイバーキャブは449台、モデルY(Model Y)のロボタクシーは362台に上る。ターネジャ最高財務責任者は、年内にオースティン以外の都市へも広げる計画を説明し、整備、充電、清掃といった運営コストにも目を配るとした。ダラスで11月に運行を始める計画も報じられている。

同日に発表された2026年7〜9月期決算は、売上高が280億5000万ドルとほぼ横ばいで、純利益は前年同期から4割強減った。本業の自動車販売が伸び悩むなか、マスク氏はロボタクシー事業が収益に貢献し始める時期を2027年とみており、サイバーキャブはその中核となる。


【自動運転ラボの視点】
サイバーキャブの主戦場は、個人所有ではなくテスラ自身が運営する自動運転タクシー網だ。価格の安さ以上に、誰が運行を担うかという事業の仕組みが競争力を左右する。日本ではまず制度整備が問われる。

■サイバーキャブの目標価格は3万ドル以下、購入条件は未公表

450万円の根拠は、マスク氏がかねて掲げてきた3万ドル以下という目標価格だ。2024年のロボタクシー発表イベントで示され、2026年2月には、2027年までに3万ドル以下で売ると改めてXで確認した。

1ドル150円で換算すると450万円になる。ただし、3万ドル以下はあくまで目標であり、確定した価格ではない。

今回の決算説明会で、価格は示されていない。報道によると、購入できる顧客の資格、走行地域の制限、フリート管理の要件も明らかにされていない。


価格目標が守られるかは、納車が始まるまで見えない。2024年の発表時には、生産開始を2026年とした後に「2027年より前」と言い直した経緯もある。テスラはこれまでも時期や価格の見通しを変更してきた。

■サイバーキャブは自社運用が主軸、オーナーが車で稼ぐ構想は時期未定

マスク氏は決算説明会で、サイバーキャブの大半はテスラが保有し、Transport as a Service(サービスとしての移動手段)として運用すると述べた。個人向けの販売は中心ではない。

一方、オーナーが自分の車をテスラのフリートに加えて収益を得る構想は、同氏が長く語ってきたものだ。主な発言は次の通り。

  • 2018年の決算説明会:民泊仲介大手Airbnb(エアビーアンドビー)のように自分の車をフリートへ貸し出せると説明し、米アップルのアプリ配信サービスApp Storeのように3割ほどの手数料を取る考えを示した
  • 2024年の株主総会:休暇中の1週間など任意の期間で車をサービスに貸し出せ、運営費を除いた大半が所有者の収入になると説明した
  • 2026年9月のインタビュー:配車大手Uber(ウーバー)とAirbnbを組み合わせたようなモデルで、サイバーキャブの所有者も車をフリートに出し入れできると語ったと報じられている

ただし、今回の説明会でその構想の時期や条件が示されたわけではない。時期の面でも壁がある。自動運転ソフトの開発を率いるアショク・エルルスワミ氏は、運転支援機能FSD(Full Self-Driving)のうち運転者の監視が不要になるUnsupervised(監視なし)版を、2027年第2四半期ごろに一部の顧客車両へ提供する計画を明らかにした。現地報道によると、初期の購入者や事業者の車両では、規制の遅れで走行できる地域が限られる可能性がある。

米国の規制面も固まっていない。米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は9月3日、サイバーキャブの認証を精査する監査を始めた。ハンドルやペダル、ミラーがない車について、テスラは連邦自動車安全基準(FMVSS)の一部を適用外と判断したうえで、全基準に適合すると認証している。NHTSAは、その判断の根拠となった過程とデータを調べる構えだ。事故や欠陥の報告に基づく調査ではなく、違反の認定でもない。ただ、年内の納車計画に影響する可能性がある。

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■日本での販売は未定、道路運送法とFSDの許可が課題

日本での販売時期は明らかになっていない。テスラが日本での販売時期や価格を示した事実は、今回の説明会の報道からは確認できない。

まず法律の壁がある。道路運送法第78条は、自家用自動車を有償で運送の用に供することを原則として禁じる。例外は、災害時の緊急運送、自治体やNPO法人が行う自家用有償旅客運送、国土交通大臣の許可を受けた場合などに限られる。このうち2024年に整えられた自家用車活用事業、いわゆる日本版ライドシェアは、タクシー事業者の管理の下で、地域の自家用車や一般ドライバーを活用する仕組みだ。

つまり、個人オーナーが自分のサイバーキャブを自由に走らせて運賃収入を得る形は、道路運送法上は原則として認められない。例外の制度はいずれも事業者や自治体の管理下の枠組みで、個人が自由に運行収入を得る仕組みではない。

FSDの壁もある。テスラ日本法人の橋本理智社長は日本経済新聞の取材に、運転者の監視を前提とするFSD Supervised(監視付き)を2026年中に日本で始める目標を改めて示した。米自動車技術者協会(SAE)が定める自動運転レベル2に当たる機能で、10月中旬の時点でまだ提供は始まっていない。提供には国土交通省の判断が必要で、ソフトウェアの更新を伴う場合は道路運送車両法に基づく特定改造等の許可が必要になるとみられる。サイバーキャブが日本の公道に出る前に、まず日本でFSD Supervisedが解禁されるかどうかが注目される。

■サイバーキャブの年内納車と、日本の自動運転ロボタクシーの行方

450万円は、3万ドル以下という目標価格を1ドル150円で換算した額だ。年内の顧客納車も確約ではなく、初期は小規模で、主役はテスラ自身が運行する自動運転ロボタクシーだ。

価格に加え、運行を誰が担い、どの制度の下で収益を得るかも課題となる。米国ではNHTSAの監査、日本では道路運送法とFSDの許可が、それぞれ壁として残る。

日本では、FSDの解禁や、自動運転タクシーを運行できる主体を定める制度の整備が前提となる。サイバーキャブが3万ドル以下で提供されても、日本で個人が購入して収益を得られるかは制度次第だ。今後の動向に注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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