Googleロボタクシー、金持ち優遇の「優先パス」を発表

月額29.99ドルのサブスク発表



自動運転タクシー大手のWaymoが、新たなサービス「Waymo Premier」を発表した。月額29.99ドル(約4,800円)で優先マッチングやキャッシュバック、アーリーアクセスなどのサービスを受けることができるという。


Waymo Premierとはどのようなサービスなのか。その中身を解説していく。

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■Waymo Premierの概要

優先マッチングやキャッシュバックも

出典:Waymo公式サイト

Waymo Premierは招待制の新しい会員プログラムで、月額29.99ドルでさまざまな限定特典を受けることができるサブスクリプションサービスだ。当初はサンフランシスコ、ロサンゼルス、フェニックスの一部の利用者に提供し、徐々に拡大していくという。

享受できるサービスは、優先ピックアップ、キャッシュバック、アーリーアクセス、キャンセルポリシーの4つで、長時間待たされることなく優先的にマッチングされるサービス、乗車運賃の10%がキャッシュバックされるサービス、新規展開都市でいち早く利用可能になるサービス、1カ月に最大5回まで無料でキャンセルできるサービス――となっている。

優先マッチングサービスやキャッシュバックサービスは、ヘビーユーザーにとって大きなメリットとなりそうだ。月に300ドル以上Waymoを利用するユーザーであれば、キャッシュバック分で月額をペイできる。混雑時はさらに多くのキャッシュバックが得られる仕組みのため、願ったりかなったりだ。


Waymo利用者の1回あたりの平均運賃は約20ドルという。月に15回乗れば元を取れる計算で、さらに優先マッチングなどを受けられるのであれば、ヘビーユーザーを中心にこのサブスクは結構流行るのかもしれない。

▼Introducing Waymo Premier, an elevated rider experience|Waymo
https://waymo.com/blog/2026/06/waymo-premier/

UberやGOなどもサブスクサービスを展開

出典:Uber One公式サイト

同様のサービスは、配車サービス大手Uber Technologiesが先手だ。同社のサブスク「Uber One」は、月額9.99ドル(約1,600円)でUber Eatsをはじめとした各種サービスの割引やデリバリー手数料無料などの恩恵を受けることができる。

▼Uber One
https://www.uber.com/jp/ja/uber-one/


日本でも月額498円または年額3,998円でデリバリー手数料無料、乗車料金 10%分のクレジット付与などの特典を受けることができる。

国内タクシー配車最大手のGOは、月々の配車サービスの利用状況に応じてスタンダード、シルバー、ゴールドなどのステータスを付与しており、各ステータスに応じて優先配車などの特典を提供している。

月間15回以上利用のプラチナステータスに達すると、サブスク「EXCLUSIVE MEMBERSHIP」に加入することができる。月額4,000円で、優先パスやAI予約利用料金無料、高評価乗務員への優先配車などさまざまなサービスを受けることができるようだ。

配車サービスをはじめとしたプラットフォームサービスは競合しやすく、世界最大手、国内最大手と言えど、しっかりと顧客の囲い込みを行い、あらゆるサービスでシェアを高める努力を怠ってはいけないようだ。

▼EXCLUSIVE MEMBERSHIP
https://support.go.goinc.jp/hc/ja/articles/43964982751769-EXCLUSIVE-MEMBERSHIP%E3%81%A8%E3%81%AF

出典:GO公式サイト

■自動運転タクシー Vs. 有人ライドシェア

Waymoは有人ライドシェアとの競争を意識?

自動運転タクシーという括りでは、Waymoは絶対王者としての地位を築いたが、有人ライドシェアなど競合するサービスとの競争を勝ち抜かなければ、移動サービス全体の中でシェアを獲得できない。

Uber Technologiesの配車回数は年間150億回規模で、1週当たり3億回となる。Lyftは年間10億回規模で1週当たり2,000万回、対するWaymoは1週当たり50万回まで数字を伸ばしてきたが、総乗車回数ではまだまだライドシェアに及ばない。

もちろん、この数字は全世界が対象であり、各社のサービス提供エリアは大きく異なる。同一エリア、例えばサンフランシスコにおけるある調査では、2024年11月にWaymoのシェアはLyftに並ぶ22%で、Uberは55%だったという。

最新データは見当たらないが、今同様の調査を行えば、サービスを拡充し続けているWaymoがさらにシェアを拡大している可能性が高そうだ。

自動運転タクシー業界では、テスラやZooxなどが新規参入を果たした。将来的にテスラは大きな脅威となり得るが、現状、他社はWaymoの足元にも及ばない。

Waymoとしては、同業をライバル視するのではなく、移動サービスの主流となっている有人ライドシェアからいかに乗り換えてもらうか――が重要な段階なのだろう。

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安全性・快適性は高いもののまだまだデメリットも

有人ライドシェアと比較した場合の自動運転タクシーのメリット・デメリットは何だろうか。メリットとしては、安全性と快適性、将来的にはコスト面が挙げられる。一方、その裏にはデメリットも内在している。

自動運転技術は、各国の道路交通法、道路交通ルールを順守するよう設計されている。精度に問題を抱えているのも事実だが、Waymoクラスであれば現時点で人間のドライバーよりも走行距離当たりの事故発生件数は低く、安全性は高い。

安全に乗車できるだけでなく、社会全体の道路交通の安全性向上に寄与する技術だ。ライドシェアの場合、一般ドライバーが運転を担うため個人差が大きく、中には自己中心的な運転を当然のように行う者もいる。乗り心地も千差万別だ。

しかし、自動運転であれば個体差はなく、常に一定水準のハンドリングで安定した移動を行うことができるのだ。

ただ、安全である一方、有人ドライバーに比べ移動時間が長時間化しやすいデメリットもある。有人ドライバーであれば、良くも悪くも制限速度を完全に順守することなく、シチュエーションに応じて無理の範囲で少しだけ速度超過することは珍しくない。

しかし、自動運転車は絶対に速度を順守する。わずかでも危険につながる事象を発見したら過剰気味に反応し、減速する。その結果、到着までに時間を要することが多々あるようだ。

快適性については、車内に自分以外の存在がいない点が非常に大きい。有人ライドシェアはドライバーありきのサービスで、サービスの質はそのドライバーに大きく依存する。非常に親切で気の利くドライバーも当然いるが、ぶっきらぼうなドライバーや短気なドライバー、必要以上にコミュニケーションを図ってくるドライバーなど、千差万別だ。男性ドライバーをなるべく避けたい――と思う女性利用者も少なくないだろう。

ドライバーレスの自動運転車であれば、こうしたドライバーの気質に左右されることなく、車内空間を独り占めできる。リラックスした状態で移動できるのは、大きなメリットとなる。

一方、ドライバーレスであるため、強盗など外部からの犯罪者の標的にされやすい点が指摘されることがある。ドアはしっかり施錠されているものの、車両の前に人間が立ちはだかった場合、自動運転車はなかなか逃げることができず、立ち往生してしまう。

遠隔監視センターに連絡しても、対応は後手後手となる。防犯面のさらなる強化も必須となりそうだ。

費用面では、現状、多くの場合自動運転タクシーの運賃が有人ライドシェアを上回っているようだ。ドライバーレスによる省人化を実現しているとはいえ、エンドレスに続く開発費用やオペレーターの人員などを加味すると、かんたんには運賃引き下げはできないようだ。

ただ、第6世代に突入したWaymoの自動運転システムは、ベース車両をZeekr製「Ojai」に変え、自動運転システムを含めた生産コストを低減できたようだ。一部では、有人ライドシェアよりも運賃が安くなった――といった声も上がっている。

製造・生産コストの低減とオペレーターの省力化が進めば、赤字が黒字化し、利益率もどんどん高まっていくことが想定される。この恩恵が運賃に反映される時期がいつ頃到来するかも注目だ。

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■【まとめ】派生サービス・ビジネスのポテンシャルに注目

今回の新サービスは、運賃以外の収入でビジネス面を強化し、早期黒字化を図っていく――という見方もできる。Uber Eatsの無人配送に一部エリアで着手するなど、さまざまな角度から派生サービスの在り方を見つめ直しているのかもしれない。

エリア拡大フェーズに突入し、量産効果などが本格化する一方、研究開発はまだまだ終わらない。派生サービス・ビジネスのポテンシャルを生かし、早期黒字化を図ることができるか。業界が注目すべき観点だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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