自動運転の早期実装を目指す東京都が、新たに西新宿エリアを「推進区域」に設定した。ベイエリアに次ぐ2エリア目で、民間事業者の取り組みをバックアップしていく構えだ。
各地で自動運転サービスが産声を上げる中、日本の首都・東京ではどのような取り組みが進められているのか。都内における自動運転の全貌に迫る。
▼西新宿エリアを自動運転の「推進区域」として設定し、早期の社会実装を支援していきます!|東京都
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2025/01/31/02.html
記事の目次
編集部おすすめサービス<PR> | |
車業界への転職はパソナで!(転職エージェント) 転職後の平均年収837〜1,015万円!今すぐ無料登録を |
|
タクシーアプリなら「GO」(配車アプリ) クーポン超充実!「実質無料」のチャンスも! |
|
新車が月5,500円〜!ニコノリ(車のカーリース) 維持費コミコミ!頭金は0円でOK! |
|
自動車保険 スクエアbang!(一括見積もり) 「最も安い」自動車保険を選べる!見直すなら今! |
編集部おすすめサービス<PR> | |
パソナキャリア | |
転職後の平均年収837〜1,015万円 | |
タクシーアプリ GO | |
クーポンが充実!「乗車無料」のチャンス | |
ニコノリ | |
新車が月5,500円〜!頭金0円でOK! | |
スクエアbang! | |
「最も安い」自動車保険を提案! |
■東京都の取り組み
ベイエリアと西新宿エリアで自動運転を推進
東京都は2024年度、自動運転レベル4など先進モビリティサービスの実現・普及を図るため、「自動運転の実装に向けた社会受容性向上支援事業」を進めている。この中で、事業者らが強い意欲を示し、2027年度末までにレベル4の社会実装が見込まれるベイエリアを「推進区域」として設定した。
自動運転技術やサービス実用化に取り組む都内区市町村や事業者などの事業計画を踏まえ、レベル4の早期実装が見込まれる区域を推進区域とすることで、より強力にバックアップしていく方針で、自動運転関連の行政手続きや関係者調整などを効率化し、社会受容性の向上に資する取り組みを支援する。
支援を受けたい事業者は、レベル4などの実現に向けた理念やサービス提供のあり方、サービス内容、サービス開始予定時期、導入予定台数、運行計画・エリア、実装に向けたロードマップ、運行車両・システム、安全対策、実施体制などを記載した事業計画書を提出する。
推進区域は、都内で自動運転実証が盛んなベイエリアと西新宿の2カ所だ。ベイエリアはお台場を中心とするエリアで、江東区と港区、品川区の一部にまたがる。今後の事業進捗や社会情勢を踏まえ、都心部などへの拡大を検討していく。同エリアでは、すでにホンダとティアフォーなどから事業計画の提出を受けている。
▼「東京ベイeSGプロジェクト」ベイエリアを自動運転の「推進区域」として設定|東京都
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2024/07/26/11.html
一方、新たに設定された西新宿エリアは、新宿駅と都庁に挟まれたエリアで、京王電鉄バスが事業計画を提出している。各社の取り組みについては後述する。
▼推進区域について|東京都
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bunyabetsu/kotsu_butsuryu/jido_unten_suisinkuiki.html
長期構想の中で自動運転レーンの設置も
都はこのほか、東京ベイeSGプロジェクトにおいても空飛ぶクルマや自動運転車、自動運行船などに加え、場面や個人の特性に応じたパーソナルモビリティが活躍する未来を構想している。
2022年度には、今後の取り組みの方向性をまとめた「自動運転社会を見据えた都市づくりの在り方」を策定している。2040年代を最終目標に据えた長期視点の考え方で、自動運転車が普及することで高密度輸送可能な未来を想定している。
自動運転車の普及により車道空間の縮小が可能となることで道路空間を再配分し、自動運転レーンの設置をはじめ、路肩側の車道空間を活用した自転車通行空間や歩行者道路空間の創出、カーブサイドの在り方などにも言及している。
【参考】東京都の取り組みについては「自動運転と東京」も参照。
■ベイエリアと西新宿におけるこれまでの取り組み
両エリアは都内有数の自動運転実証地
東京都は、自動運転による公道実証推進に向け2017年に「東京自動走行ワンストップセンター」を開設するなど、早くから同分野に取り組んできた。2018年度には「自動運転技術を活用したビジネスモデル構築に関するプロジェクト」で民間事業者による公道実証が本格化している。
2020年度の同事業では、Mobility Technologies(現GO)、ティアフォー、損害保険ジャパン、KDDI、アイサンテクノロジーによる「5Gを活用した自動運転タクシーの事業化に向けた運行管理実証」が採択され、西新宿エリアにおける実証がスタートした。
同事業は2021年度から「臨海副都心における自動運転技術を活用したサービスの構築に関するプロジェクト」と「西新宿エリアにおける自動運転移動サービス実現に向けた5Gを活用したサービスモデルの構築に関するプロジェクト」に分けられた。この時点でベイエリアと西新宿が先行エリアとなっていることがうかがえる。
同年度は、ベイエリアではMobility Technologies(現GO)がトヨタのe-Paletteを活用した新たなモビリティサービス実証を行った。
西新宿ではプロジェクト2件が採択された。京王電鉄バス、 京王バス株、京王電鉄、京王エージェンシー、日本モビリティ、ソフトバンク、あいおいニッセイ同和損害保険、MS&ADインターリスク総研などは、日野ポンチョをベースとした自動運転バスを導入し、都心部特有の自律走行困難な営業ルートでの自動運転バス運行実証を行った。
また、大成建設、ティアフォー、損害保険ジャパン、KDDI、アイサンテクノロジー、日本信号、大成ロテック、プライムアシスタンスは、トヨタJPN TAXI 匠をベースとした自動運転車両を用い、まちのインフラと協調した自動運転サービスの運行実証を行った。
2022年度は、ベイエリアではWILLERとBOLDLYがARMAを用い、周辺施設と連携した賑わい創出コンテンツと自動運転の移動サービスの掛け合わせによるシティバリュー向上プロジェクトを実施したほか、先進モビリティはBYD J6ベースの自動運転バスを用い、回遊性向上を図るプロジェクトを実施した。
▼東京都の「令和5年度臨海副都心における自動運転技術を活用したサービスの構築に関するプロジェクト」として回遊型の自動運転EVバスを運行
https://www.willer.co.jp/news/press/2023/0621_5238
西新宿では、京王電鉄バスなどがバス路線の自動運転営業運行に向けた技術・運用検証及び持続可能なサービスモデルの検証を行った。
同事業においては、2023年度はベイエリアのみで、前年度に引き続きWILLERとBOLDLYが自動運転サービス実装に向けた運行方法の最適化とサービスモデルの検証によるシティバリュー向上プロジェクトを実施した。
西新宿エリアでは、同事業とは別に一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会らが長期サービス実証やビル高層階からの遠隔監視などについて実証した。
2024年度もベイエリアのみで、4件が採択されている。WILLERとBOLDLYは、ARMAとMiCaを導入し、シンボルプロムナード公園内を回遊する小型自動運転バスによる走行検証を行った。
先進モビリティは、既存路線が整備されていない区間をつなぐ回遊性向上効果を検証した。ティアフォーは、東京テレポート駅と日本科学未来館の2拠点間をつなぐ自動運転タクシーによる予約配車システムを用いた走行を検証した。
また、先進モビリティとティアフォーの両社が、国際展示場駅と海の森公園、日本科学未来館をつなぐ複数の自動運転バスの走行による回遊性向上効果について検証した。
都内の他エリアでも実証は行われているが、やはりベイエリアと西新宿エリアが先行して進んでいる印象だ。
【参考】西新宿エリアにおける取り組みについては「西新宿で「LINEで自動運転車」サービス!ビル25階から遠隔監視」も参照。
■ベイエリアと西新宿における今後の取り組み
ホンダは計画中止か
ベイエリアでは、事業計画を提出済みのホンダとティアフォーのほか、MONET Technologiesなども実用化に向けた取り組みを進めている。
ホンダは、当初計画ではパートナーシップを結ぶ米GM、Cruise勢とともに2026年初頭にお台場エリアで自動運転タクシーサービスを開始することとしていた。お台場エリアを皮切りに中央区や港区、千代田区へと順次拡大を図り、最大500台までフリートを拡大する計画だ。
しかし、GMが2024年12月にCruise事業の停止を発表し、自動運転タクシーから手を引いた。ホンダも都内における計画を中止することが一部メディアで報じられているが、今のところ公式発表はされていない。
日産との統合話も急浮上し、状況的にそれどころではないのかもしれない。当初計画は無理にしろ、改めて新たな自動運転サービスプロジェクトを立ち上げてほしいところだ。
【参考】ホンダの取り組みについては「ホンダ、自動運転タクシー計画を「白紙撤回」か GM撤退による影響不可避」も参照。
ティアフォーは本格実証に着手
ティアフォーは、お台場の複数拠点間でサービス実証に着手しており、2024年11月から交通事業者と共同で事業化を目指す計画を発表している。2025年中に都内3カ所、2027年までに都内全域でサービスを展開する方針としている。
進捗は不明だが、同年7月には日本交通と協業を開始し、独自のデータ記録システムを用いて大規模な共有データ基盤の構築を推進することを発表した。2024年12月には、自動運転に必要なデータの継続的な収集を約100カ所で実施していることも発表している。国内を代表するスタートアップの動向に要注目だ。
【参考】ティアフォーの取り組みについては「東京に自動運転タクシー!トヨタ車で11月事業化へ ティアフォー発表」も参照。
MONET Technologiesも自動運転シャトル実証を開始
ソフトバンクとトヨタの合弁MONET Technologiesは、2025年1月から3月中旬にかけ、東京臨海副都心で一般利用者を対象とした自動運転シャトルの実証運行を行っている。
米May Mobilityの自動運転システムを搭載したシエナ2台を導入し、レベル2で運行を行うという。レベル4に向けた取り組みと言うより、自動運転モビリティサービスの可能性を追求していく色合いが強いようだ。
【参考】MONET Technologiesの取り組みについては「理由不明!トヨタ系モネ、自動運転シャトルに「国産技術」搭載せず」も参照。
西新宿では京王電鉄バスがレベル2通年運行を開始
一方、西新宿エリアでは、京王電鉄バスが2025年2月から自動運転バスによる通年運行を行う。実質レベル2での運行だが、通年運行を通じて手動介入の低減に取り組むとしている。都庁第一本庁舎、第二本庁舎と新宿駅を結ぶルートで有料。発車5分前までに予約が必要という。
自動運転システムの提供事業者は明記されていない。京王グループはこれまで日本モビリティや埼玉工業大学、ティアフォーなど幅広い事業者と手を組んでおり、今回の運行にはアイサンテクノロジーと三菱商事の合弁A-DRIVEが協力している。
【参考】京王バスの過去の取り組みについては「西新宿の自動運転実証、「グーグル級」には届かず?運転手搭乗型のレベル2で実施」も参照。
■【まとめ】最先端技術が集まる首都の動向に注目
都内ではこのほか、BOLDLYらがHANEDA INNOVATION CITYで自動運転バスを運行しており、すでに特定自動運行許可も取得している。また、日本交通とGOは米Waymoと提携し、自動運転タクシー実装に向け2025年中に実証に着手する予定だ。
人口密度が高く交通量も多い都内で磨かれた技術は、他の多くのエリアで通用する自動運転技術となり得る。最先端技術が集まる首都・東京の交通がどのように変わっていくのか、今後の動向に要注目だ。
【参考】関連記事としては「【最新版】自動運転、日本政府の実現目標・ロードマップ一覧|実用化の現状解説」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)