Googleの自動運転車、公道を逆走!Xで目撃投稿

幹線道路への合流時に・・・なぜ?



出典:X(THO〽️🅰️S🇺🇸)https://twitter.com/budrcn88/status/1782920628951220244

グーグル系Waymoの自動運転車が道路を逆走し、SNS上でプチ炎上しているようだ。場所は不明だが、SNS「X(旧Twitter)」にアップされた動画を見る限り、確かにWaymoの車両が道路を逆走している。

自動運転車に関する事故や事件、事案は多岐に渡るが、逆走は新たな事案と言える。どのような状況でWaymo車は道を誤ったのか。同案件の概要とともに、この1年間に米国で発生した自動運転車絡みの事案を紹介していこう。


■Waymo逆走事案の概要

幹線道路に左折してきたWaymo車が逆走

Xに投稿された動画を見ると、Waymoの車両が逆走する様子が確かに収められている。動画には片側4車線以上の道路が映っており、左端の黄色い区画線で区切られた走行レーンには車列がびっしりとできている(米国は右側通行)。

そこに画面右側から横切るようにWaymoの車両がゆっくり登場する。脇道か何かから幹線に合流したのだろうか。

左側のヘッドライトが点滅しているように見えるため、左折したかったのかもしれない。しかし、左端の車列に進路を阻まれるような形で前進をストップすると、その手前のレーンで左折し、ゆっくり逆走を開始する様子がはっきりと収められている。普通に左折したかったのか他の意図があったのかなどは不明だ。

この投稿に対し、Waymoの公式アカウントも反応した。Waymoは「Thanks for flagging this issue to us. Could you send us a private message so our team can look into this further?」=「ご報告いただきありがとうございます。私たちのチームがこの件について詳しく調査できるよう、プライベートメッセージを送っていただけますか?」とコメントしている。


逆走案件はまれ、ソフトウェア回収も?

自動運転車が関連する事故・事案は山ほどあるが、逆走案件は非常に珍しい。Waymoの自動運転システムは、車線ごとの情報を含む高精度3次元地図を用いている。現在どの車線を走行しているかもしっかりと把握しており、当然進行方向もわかっているはずだ。


経験値の高いWaymoの自動運転システムが今さらこのようなミスを犯すのか?と疑問がぬぐえず、原因が気になるところだ。

道路幅が非常に広いため自車位置情報に若干のずれが生じ、走行レーンを間違えたか、あるいは正しいレーンまで進行して左折したかったものの塞がれていたため、空きスペースを求めてさまよいだしたか……。

レーンが連なる非常に幅の広い道路が要因となっている可能性がありそうだが、非常に危険な行為となるため、ソフトウェアの自主回収が行われる可能性も考えられる。

■米国で1年間に発生した案件

Waymo車が自転車レーンに進入

2024年4月29日付のXの投稿では、一般車両の車列ができている左隣の自転車レーンにWaymoの車両が停まっている様子が確認できる。いまいち状況を把握しきれないが、おそらく本来は右側の車列に並ばなければならないところ、自転車レーンに入ってしまったものと思われる。

本来入ってはならないレーンに進入してしまったようだが、ある種、逆走事案と共通する課題があるのかもしれない。

Waymo車が自転車と衝突

Waymoの自動運転タクシーが2024年2月、自転車と衝突する事故がカリフォルニア州サンフランシスコで発生したようだ。

Waymo車が乗客を乗せ交差点を左折しようとしていたところ、対向側からトラックが来たためWaymo車は一旦停止する。トラック通過後に左折を開始したところ、死角にいた自転車に気付くのが遅れて接触したようだ。

自転車、乗客ともに特にけがはなく、自転車はそのまま立ち去り、Waymoが自主的に通報した。

Waymo車が牽引中の車両と接触

Google系Waymoが展開している自動運転タクシー=出典:Waymo公式ブログ

2023年12月には、Waymoの車両がアリゾナ州フェニックスで牽引車と接触する事故が発生した。不適切な方法でトラックに牽引されていた後ろ向きのピックアップトラックと接触し、その後、別のWaymoの車両もピックアップトラックに接触したという。

イレギュラーとも言えるシナリオだが、Waymoはただちにソフトウェアアップデートに向けた取り組みを開始し、NHTSA(米運輸省道路交通安全局)との協議を経て2024年2月に旧ソフトウェアの自主回収を発表した。

【参考】ソフトウェアの自主回収については「Google、事故後に自動運転ソフトを自主リコール 違法状態の牽引車両と接触」も参照。

Waymoのタクシーが窃盗未遂

自動運転車を盗もうとする輩もついに現れたようだ。2024年3月、カリフォルニア州ロサンゼルスでWaymoの自動運転タクシーを盗もうとした男が窃盗未遂容疑で逮捕された。

容疑者は、自動運転タクシーが客を降ろした直後を狙ったようだ。客が降り空っぽになったタクシーの運転席に乗り込み、シフトレバーを操作して運転しようとしたが、制御できなかったという。

Waymoの担当者が通信機能を使い、容疑者へ車からすぐ離れるようアナウンスしたが容疑者が従わなかったため、警察に通報した。容疑者は到着した警察官に現行犯逮捕されたそうだ。

自動運転車はサイバーセキュリティの重要性がたびたび指摘されるが、こうしたアナログ的なセキュリティ対策もしっかり講じておかねばならないようだ。

【参考】Waymo車の窃盗未遂事案については「Googleの自動運転タクシーを盗もうとした男、手動操作できず御用」も参照。

サンフランシスコでWaymo車が襲撃受け炎上

出典:X(@friscolive415)

サンフランシスコでは、2024年2月にWaymo車が襲撃を受け、車両が炎上する事件も発生している。場所はチャイナタウンで、春節(旧正月)にあたる期間だった。テンションが上がった酔っ払いによる犯行なのか、自動運転車を狙ったものなのかは不明だ。

車内無人のWaymo車が現場に差し掛かり、道路上に群がる人たちを検知して停止した際、群衆に取り囲まれたものと思われる。ボンネットに上ったり車体にスプレーで落書きしたりと徐々に行為がエスカレートし、フロントガラスは割られ、車内に花火を投げ入れられたことで引火し炎上したようだ。

車両が炎上するレベルは極めてまれだが、ボンネットに飛び乗られたり蹴られたり、石や卵を投げつけられたりする案件はこれまでにも報告されている。

【参考】Waymo車の襲撃については「Google製の自動運転車、火をつけたのは「14歳少年」疑い」も参照。

Cruiseが人身事故、CEO辞任劇まで発展

出典:X(https://twitter.com/TerryMcSweeney/status/1709097787613487516)

GM傘下Cruiseの自動運転タクシーは、人身事故をきっかけに営業停止に追い込まれた。2023年10月、サンフランシスコを走行中のCruiseの車両が、別のクルマにはねられた女性をひき、路肩に停車するまで数メートル引きずる事案が発生した。

おそらく被害者は最初のクルマにはねられCruise車の前に飛ばされたものと思われる。Cruise車はブレーキを掛けるものの間に合わず、被害者と衝突した。

ここまでは仕方がない面もあるが、その後、路肩に緊急避難しようと発車したところ、被害者を引きずったまま移動したという。

この件を受け、カリフォルニア州道路管理局(DMV)と同州公共事業委員会(CPUC)は営業停止と無人走行試験許可の即時停止を発表した。

Cruiseは他州での自動運転走行も停止し、CEOが辞任するところまで影響は拡大した。

抗議運動でボンネットに三角コーン置かれる

出典:ABC7公式YouTube動画

WaymoとCruiseの自動運転タクシーは2023年7月、「Week of Cone(コーン週間)」被害にあっている。自動運転タクシーに反対する民間団体が、自動運転車のボンネットに「三角コーン」を設置するはた迷惑な運動だ。

抗議運動としては効果絶大?で、ボンネットに三角コーンを置かれた自動運転車両は走行不能となる。WaymoとCruise両社がそれぞれ声明を発表する事態にまで発展したようだ。

【参考】三角コーン事件については「自動運転を無能化!ボンネットに三角コーン、反対派が抗議活動」も参照。

■【まとめ】日本でも無人車両がまもなく増加?

良くも悪くも、事故やトラブルのバリエーションがどんどん広がっている印象だ。重大案件となる前に改善できればまだ良いが、手遅れになればCruiseのように走行や営業が禁止されることも考えられる。1つひとつの問題に真摯に向き合い、地道に解決していってほしい。

日本では無人の自動運転車はごく一部に限られているが、2025年度にかけ取り組みは大きく加速することが予想される。国内開発・サービス勢も、米国などの事例を参考に事前にシステム改善を図りたいところだ。

【参考】関連記事としては「自動運転の「トラブル事例」一覧(2024年最新版)」も参照。


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