Google、事故後に自動運転ソフトを自主リコール 違法状態の牽引車両と接触

すでにアップデートを完了



出典:Waymo公式サイト

米Google系の自動運転開発企業であるWaymoは2024年2月20日までに、接触事故の発生により旧ソフトウェアを自主的にリコールしたことを発表した。すでにアップデートを完了している。

報道発表によれば、以前Waymoの車両に搭載されていたソフトウェアについて、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)に自主回収報告書を提出した。


事故は、不適切な方法で異常状態で牽引されていたピックアップトラックの動きに関する判断を誤ったことが原因とみられる。Waymo側を批難しすぎるのは酷な状況ではあるが、自動運転車の安全性をさらに高めるためにはリコールは必要な措置だ。

■アリゾナ州で牽引中の車両と接触

2023年12月11日、アリゾナ州フェニックスでWaymo車両が、前方で不適切な方法でトラックに牽引されていた後ろ向きのピックアップトラックと接触した。

接触後もトラックとピックアップトラックのどちらも停止せず、その数分後に、別のWaymo車両も同じピックアップトラックと接触した。どちらのWaymo車両も乗客を乗せていなかったため、負傷者はいなかった。また車両の損傷も軽微だった。

■トラックの違法な牽引方法が原因だが・・・

事故当日にWaymoは、フェニックス警察とアリゾナ州公安局にこの2件の衝突事故について報告した。その後12月15日にNHTSAにも報告し、2024年2月までの間にNHTSAの担当者と4回にわたり話し合いを行ったという。


Waymoによる検証では、牽引するトラックとピックアップトラックの組み合わせの方向の不一致のため、Waymoの自動運転車が牽引されているピックアップトラックの動きを誤って予測したと判断した。

その後、修正プログラムを開発し、厳密なテストを行い、検証した。そして12月20日に、この問題に対処するためのソフトウェア・アップデートを開始した。

Waymo独自の分析とNHTSAとの協議に基づき、この2件の衝突事故発生時にWaymo車両に搭載されていたソフトウェアの自主回収報告書を提出することが適切であるとの結論に達した。

■Waymoの安心に対する姿勢が際立つ状況に

今回の接触事故は、Waymoに全面的に否があるというわけではなく、ピックアップトラックの牽引方法が正しくなかったことで、Waymoの自動運転ソフトウェアが正常な判断を下せなかったということのようだ。


しかし自動運転車の走行中には、今回のような予期せぬ状況に遭遇することもある。今回のようにすぐにソフトウェアのアップデートを実施することで、安全性の確保のための改良と信頼回復につなげることができる。

ライバルである米GM傘下のCruiseが人身事故を起こしたことにより全面的に自動運転タクシーの運行を停止している現在、Waymoの安心・安全に対する姿勢が一際際立つ状況となっている。

▼Voluntary recall of our previous software
https://waymo.com/blog/2024/02/voluntary-recall-of-our-previous-software/

【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転戦略」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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