GM、自動運転タクシー再開へ「手動運転」でデータ収集開始

まずアリゾナ州で取り組み開始



出典:Cruise公式ブログ

米自動車メーカー大手のGMは2024年4月10日までに、全米で営業停止していた自動運転タクシーのサービス再開に向け、「手動運転」によるデータ集めを一部都市で再開すると発表した。

同社の公式ブログによれば、まずアリゾナ州フェニックスで人間が運転する車両を使い、自動運転のための地図情報・道路情報を作成するためのデータを収集する。GMは「ドライバーレスのミッションへの復帰に向けて取り組む重要なステップ」としている。


▼Cruise resumes manual driving as next step in return to driverless mission
https://www.getcruise.com/news/blog/2024/cruise-resumes-manual-driving-as-next-step-in-return-to-driverless-mission/

■2023年10月の事故で運行停止

出典:X(https://twitter.com/TerryMcSweeney/status/1709097787613487516)

GMの自動運転部門であるCruiseの自動運転タクシーは、2023年10月に歩行者が重傷を負った事故などが引き金となり、アメリカ国内で展開していた全ての自動運転タクシー関連の業務を停止していた。

カリフォルニア州の道路管理局(DMV)から運行停止命令を受け、社会的信用が失墜したGM Cruiseの自動運転タクシー。同社は信用の回復に向け、運行停止の期間中に複雑でダイナミックなシミュレーション環境と現実世界のクローズドなコースで、継続的かつ広範なテストを実施してきたという。

こうした取り組みによる自動運転技術の向上と、アリゾナ州でスタートしたデータ収集による高品質な地図データの作成により、高い安全性と性能の目標を達成できるようにするという。


■制限速度や標識、信号の情報を収集

手動運転によるデータ収集はアリゾナ州フェニックス以外でも今後スタートさせる予定だという。ちなみにデータ収集の最初のステップは、制限速度や一時停止の標識、信号、右折専用レーンの有無などの道路データを収集することのようだ。

そしていずれはCruiseの自動運転システムを稼働させ車両を公道走行させるが、その段階でもまずはセーフティドライバーがハンドルを握り、道路状況に応じて必要であれば手動運転にいつでも切り替えられるようにするという。

GMは「自動運転車が人命を救い 、毎年アメリカやアリゾナの道路で発生する事故の数と深刻さを大幅に減らすと信じています」「自動運転車は、高齢者や障がい者にとって便利で安全な交通手段を生み出すなど、人々の生活を向上させるでしょう」としている。


■Googleの好敵手に戻れるか

アメリカにおいては、GM Cruiseの自動運転タクシーの運行停止により、実質的にGoogle系Waymoの一強状態となっている。

ちなみに、Cruiseがこのほどデータ収集を開始したアリゾナ州フェニックスはWaymoが自動運転タクシーの商用運行を世界で初めて開始した地だ。GMがWaymoの好敵手に戻れる日は来るのか、注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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