テクノロジー・メディア・通信業界に特化した国際的な調査会社であるCounterpoint Technology Market Research(カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ)はこのほど、コネクテッドカーに関する調査結果を発表した。
2023年第3四半期のコネクテッドカーの販売数は前年同期に比べ3割近く増え、実に販売された車の3台に2台がコネクテッドカーだったという。そして、販売シェアはトヨタグループが首位となった。
■前年同期に比べ販売数が約3割アップ
コネクテッドカーとは通信機能を備えた自動車のことだ。「つながる車」などと呼ばれることもある。事故が起きたときに自動的に緊急通報を行うシステム、走行実績に応じて保険料が変動する保険、盗難時に車両の位置を追跡するシステムなどが実用化されつつある。
【参考】関連記事としては「コネクテッドカーの機能一覧 トヨタ・日産・ホンダなど」も参照。
前年同期に比べ販売数を28%と大きく販売数を伸ばしたコネクテッドカー。調査を行ったカウンターポイント社のシニアアナリストSoumen Mandal氏は、「消費者のハイテクへの関心が高まり、コネクティビティへのニーズも高まった。その結果としてコネクテッドではない車両の販売は着実に減少している」と述べた。
■2030年には乗用車の95%がコネクテッドカーに
販売シェアは出荷ベースで12%のトヨタグループが1位になった。2位以降はVolkswagenグループ、General Motorsグループ、現代自動車(ヒョンデ)/起亜自動車(キア)グループ、Stellantisグループと続き、この上位5社が全体の約45%を占めている。
調査を行ったカウンターポイント社の調査担当バイスプレジデントNeil Shah氏は今後の見通しについて、「発展途上国においても車のコネクティビティは少しずつニーズが高まっており、市場における主な差別化ポイントになっている。2030年には乗用車の新車のうち95%がコネクティビティを純正で搭載して出荷されるだろう」との考えを示した。
なお、地域別の販売シェアは中国がトップで、次いで米国、欧州となる。これら上位3地域が販売数の75%を占めた。また、乗用車販売においてはドイツのシェアが一番高かった。緊急通報システム「eCall」の義務化など、初期に政府が後押ししたことが効いているという。2位以降は米国、フランス、英国と続く。
■2030年までに新車販売の9割が5G接続に
第3四半期に販売された車両の95%は4Gによる接続で、5Gの普及は進んでいない。その要因として、高速道路沿いの5Gインフラが弱いこと、5Gならではの車内ユースケースがないこと、サプライチェーンの課題などが考えられるという。
今後の見通しについてNeil Shah氏は次のように述べている。「自動運転レベル3やさらに高度なレベルの車が市場に出回るようになれば、5Gも次第に増えてくると考えられる。2026年が自動車用途への5G搭載に関する変曲点となりそうだ。2030年までに、新車販売の90%が5G接続になるだろう」
高速通信や大容量データの処理を可能にする5G接続が普及すれば、コネクテッドカーの利便性は格段に上がる。日本のメーカーであるトヨタが世界を舞台に販売数を伸ばす中、日本でのコネクテッドカー普及の動向に注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転車の市場調査・レポート一覧」も参照。