Google系の自動運転開発企業である米Waymoは、自動運転タクシーを高速道路でも展開する計画を発表した。まず自動運転タクシーを最初に展開し始めたアリゾナ州フェニックスでテスト走行を実施する。
■まずは従業員向けに試験展開
Waymoは2018年12月、世界初の自動運転タクシーサービス「WaymoOne」をアリゾナ州フェニックス郊外でスタートした。当初はセーフティドライバーが同乗していたが、2020年頃から一部の車両で安全要員を乗せない運用をスタートし、「完全無人」の自動運転タクシーを実現させた。これは、自動運転レベル4に相当する。
その後、自動運転タクシーサービスをフェニックス中心部でも展開することを2022年4月に発表した。すでにカリフォルニア州サンフランシスコでもサービスを提供している。
ここ1年間はセーフティドライバーがハンドルを握った形式で、高速道路の走行試験を行ってきた。そしてまもなく、Waymoの従業員を乗せ、高速道路でのドライバーレスの自動運転車の走行試験が開始させるという。
一般へのサービス展開に向けて従業員からフィードバックを集め、無人走行技術を向上させていく流れだ。
■高速道路の利用で移動時間が半分に
フェニックスはアリゾナ州最大の都市で、砂漠地帯と全米有数の工業地帯をあわせもっている。自動運転車の適用範囲を一般道から高速道路に拡大することで、移動の利便性が大幅に向上することが期待されている。例えば、高速道路を使うことにより、アリゾナ州スカイハーバー空港からスコッツデール北部までの移動時間が50%短縮されるという。
高速道路で自動運転車を走行させることは、広大な米国において必須条件と言えるかもしれない。
Waymoによると自動運転車の高速道路での走行技術は、他の都市でもサービスを拡大する際に、特に重要な要素だという。そのため同社は高速道路での自動運転実証に注力している状況だ。
■Waymoの一強状態が今後も継続!?
Waymoに関しては、事業拡大に関する発表が続いている。たとえば米ライドシェア最大手のUberは2023年10月、自動運転タクシーサービスを米国内で開始したが、実際に配車されるのはWaymoの自動運転タクシーであり、Uber所有の自動運転車ではない。
これまで米国の自動運転タクシー開発においては、WaymoのほかにGM系Cruiseが実用化を進め、この2社の競争という状況だった。しかしCruiseは度重なるトラブル・事故でカリフォルニア州から営業停止措置を受けたことを受け、2023年10月に運行を全面的に停止した。
今回Waymoが高速道路で自動運転車のテストを開始することで、ますますCruiseの先を行くことになりそうだ。Cruiseの運行停止でアメリカではWaymoの一強状態が続くが、この流れは今後も続くのか。
【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転戦略」も参照。