無人の自動運転パトカー、北京で試験導入 24時間稼働、360度センサーを搭載

ドバイでも導入実績があるNeolixが車両開発



出典:民放テレビ局「上海外語チャンネル」の公式YouTube動画

中国・北京市でこのほど、自動運転パトカーの路上走行試験がスタートした。自動運転レベル4(高度運転自動化)相当の車内無人のパトカー15台が、北京市の警察官と連携して24時間体制で警官業務を行う。

この自動運転車は公道走行試験の認可を取得した車両で、自動運転パトカーを開発したのは中国のスタートアップ企業であるNeolix(新石器)だ。


車両のサイズや外観から予想すると、そもそも運転席が設置されていないとみられ、管制センターからの緊急時の遠隔操作を除けば、現場での人間による介入を前提としていないとみられる。

■Neolix開発の自動運転パトカーが北京を走る

北京市の南部に位置する亦荘(えきそう)は、ハイレベル自動運転モデル区となっており、自動運転車の商業化に向けた実証などを行うことができる。この同エリアで、自動運転パトカーがパトロールや大規模イベントの警備、アナウンス、警告、緊急時の救助活動などを行う。パトロール範囲は、60平方キロメートルだ。

自動運転パトカーには360度のマルチセンサーフュージョン知覚システムが装備され、検出範囲は最大120メートルとなっている。オンボード・コンピューティング・プラットフォームにより、道路状況データをリアルタイムで処理することで、車両の安全性を確保できるという仕組みのようだ。将来的には、24時間体制での任務も期待されているという。

Neolixのシニア・バイス・プレジデントであるZhang Weiling氏は、「この電動の自動運転パトカーはレベル4の自動運転技術を備えている。バッテリー交換は30秒で完了し、航続距離100キロを実現している」とコメントしている。


民放テレビ局「上海外語チャンネル」の公式YouTubeで、自動運転パトカーの様子が紹介されている。小型シャトルのようなサイズの自動運転パトカーが、ライトを点滅させながら公道を走行する様子を見ることができる。車体側面にはディスプレイが備わっており、警察からの告知などもできるようだ。

■ドバイでも採用実績があるNeolixの自動運転パトカー

Neolixは以前から自動運転パトカーの開発を続けており、アラブ首長国連邦のドバイ警察と採用についての覚書を2017年6月に交わしている。

その際の自動運転車は、今回北京で始動したものより小型の車両だが、各種センサーで不審者を見つけ出すことができることで、当時、話題になった。車両に搭載しているドローンで不審者を追跡できることでも注目を集めた。


【参考】関連記事としては「中国、ウイグル族監視に自動運転パトカー導入か」も参照。

■自動運転開発で先行する北京

北京市は自動運転を段階的に普及・推進していくため、2021年4月に北京市インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)政策先行区を設定した。2023年3月には完全無人の自動運転実証をスタート、同年7月からは完全無人自動運転タクシーの商用化に向けての試験が開始されている。

今後、この先行区を段階的に拡大することも計画されている。北京の街では、配送ロボや自動運転タクシーに加えて自動運転パトカーもどんどん導入例が増え、社会受容性もいち早く高まっていきそうだ。

【参考】関連記事としては「中国の自動運転タクシー事情」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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