中国が新疆ウイグル自治区に自動運転パトロールカーを導入したようだ。報道によれば、自動運転パトロールカーを導入した理由は、少数民族ウイグル族監視のためである可能性があるという。
中国のウイグル問題が国際的に問題視されている中、先進技術である自動運転技術をウイグル族の監視に活用していることがはっきりすれば、国際社会から批判が高まりそうだ。
■自動運転パトロールカーの導入目的は?
米RFAの報道によると、中国は20台の自動運転EV(電気自動車)のパトロールカー「リトルパトロール」を新疆ウイグル自治区に導入し、同自治区北部にある都市カラマイにおいて、実証実験を開始したという。今後、同車両は同自治区全域に配備される予定のようだ。
カラマイは同自治区を代表するデジタル都市であることから、生産や試験拠点に選ばれたとみても不自然ではない。ただし冒頭触れたように、自動運転パトロールカーが常に新疆ウイグル自治区の住民を監視するためだという見方も出てきている。
はっきりとした目的は明らかになっていないが、新疆ウイグル自治区の住民の中にはプライバシーの侵害や監視されていることへのストレスや恐怖をより一層感じる人も少なくないはずだ。
■移動式交番などの開発事例はあるが・・・
自動運転技術をパトカーなどで活用する動き自体は、今に始まったことではない。例えばドバイ警察は日本の三笠製作所と共同で、世界初の移動式交番「SPS-AMV」(Smart Police Station-Autonomous Mobile Vehicle)を開発している。
SPS‐AMVは自動運転技術を搭載した移動無人交番で、警察行政サービス端末が搭載されている。住民はスマートフォンでSPS‐AMVを呼び出すと、各種支払いサービスや住民票の発行、遺失物の紛失・盗難届の受付など、約30の行政サービスを利用できるという。
もちろん、パトカーらしく「監視システム」も搭載されているようだ。360度カメラで速度違反や駐車違反を自動で検出したり、警察本部からこのカメラを通じて周辺の映像をVR視聴したり、といった具合だ。
報道などによると、「不審者・不審車両の検出」「火災判定」「交通量調査」「道路状況の監視」「砂塵嵐・砂嵐予測監視システム」など機能の随時拡大も検討しているという。
【参考】関連記事としては「自動運転の無人交番、日本の三笠製作所が開発!ドバイ万博に納車」も参照。
■今後どのような動きが出てくるのか
警察が違法性のない範囲内で自動運転技術を活用したとしても特段問題はないものの、国際的に批判が高まっている問題に先進技術を導入することに関しては、懸念が高まることは必至だ。無人ドローンを戦争に導入することと似た類いの懸念だ。
中国の新疆ウイグル自治区における自動運転パトロールカーの導入に関し、今後どのような動きが出てくるのか、世界が注目している。
【参考】関連記事としては「世界初「自動運転レベル4市販車」、中国・百度が発売へ」も参照。