空飛ぶクルマ業界、二極化の様相 A.L.I.は破綻、SkyDriveは大型IPOへ

エアモビリティベンチャーの最新動向は?



出典:A.L.I.Technologiesプレスリリース

空飛ぶホバーバイクの開発に取り組んでいたA.L.I.Technologiesが、このほど破綻した。東京地裁に破産申請を行い、すでに破産開始決定を受けた。開発費用の拡大で赤字が年々増え、2022年12月期は約19億4,000万円まで損失が膨らんでいた。

東京大学の学生らが創業した同社。エアモビリティ業界で注目を集めていたスタートアップの一つだったが、資金調達が計画通りに進まないことなどで資金繰りが悪化。商用展開にまだ時間を要する事業分野であることもあり、事業継続を断念せざるを得なかったようだ。


そんな中、同じエアモビリティ業界で事業を展開しているSkyDrive(本社:愛知県豊田市/代表取締役CEO:福澤知浩)は、A.L.I.Technologiesとは対象的に、事業拡大に余念がない状況のようだ。

大型IPO(新規株式公開)を見据えて求人強化に乗り出しており、現時点で求人件数は42件に上り、東京オフィスや大阪オフィス、名古屋空港オフィス、製造子会社がある静岡県磐田市で募集を行っている。

■どんな求人案件がある?予定年収は?
出典:SkyDriveプレスリリース

特に設計部門を中心とした開発拠点を2023年11月に移転した名古屋空港オフィスでの求人が多く、空飛ぶクルマの認証担当やシミュレーター開発エンジニア、飛行試験エンジニア、経営管理メンバーなど、さまざまな職種を募集している。

いずれの求人にも「国内大型IPO候補」との記載がある。同社は株式上場を視野に入れているわけだ。そのための人材強化に向け、具体的には同社はどんな人材を募集しているのだろうか。予定年収を含めて、一部を紹介しよう。


経営管理メンバー(予定年収は500万〜700万円)

SkyDriveは、名古屋空港オフィスで経営管理メンバーを募集している。経営管理グループに所属し、同社の経営課題解決に向けて関係各社と協議しながら進行していく役割を担う。

株主総会・経営会議、監査役会などの設置や運営などのコーポレートガバナンス整備のほか、海外含む子会社設立や設立後の体制整備、組織横断プロジェクトのプロジェクトリード、IPO準備などに携わるようだ。

応募にあたり、プロジェクトマネジメントの経験やプロジェクトチームにて課題解決を担当・リードした経験、バックオフィス業務全般に関する知識、ビジネス英語中級レベル以上の英語力が必須だ。予定年収は500万〜700万円となっている。

https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3009486617/


国内事業開発(予定年収は500万〜900万円)

国内事業開発のミッションは、新規事業に関する仮説立案や新たなビジネスの創出、仮説検証から事業化まで一連のプロセスを牽引することだ。

行政への折衝や民間パートナーとの連携、社会への発信などを担当する。民間パートナーとの連携としては、バーティポート(空飛ぶクルマの離着陸場)の具現化や実装が挙げられている。

新規事業開発に向けたエコシステムの構築ができることが、応募の際の必須条件だ。予定年収は500万〜900万円、基本的には在宅勤務だが、国内出張が多く発生するポジションになるようだ。

https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3009486610/

飛行試験エンジニア・フライトテスト(予定年収は600万〜1,300万円)

名古屋空港オフィスと愛知県の豊田テストフィールドにおいて、空飛ぶクルマの飛行試験に関する業務全般を担当する人材を募集している。

空飛ぶクルマ特有の要件に合わせた包括的な飛行試験計画の策定や飛行試験データの収集・分析、操縦システムの総合評価の実施、航空局との折衝、空飛ぶクルマの認証プロセスの促進、リスク評価などを担当する。

ドローンや航空機、ヘリコプターなどの航空業界出身で、飛行試験に関する経験が必須となる。予定年収は600万〜1,300万円、フライトテストの状況により中長期間の出張が発生するポジションになる。

https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3009491498/

■製造子会社も設立して勢いに乗るSkyDrive

2025年の大阪・関西万博で空飛ぶクルマの実装をスタートする予定のSkyDrive。大量生産に向けて製造子会社も設立し、実用化への準備が万端だ。2024年のSkyDriveの動きにも引き続き注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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