ひろゆき氏、自動運転「事故ったら損害賠償は国」モデルを提唱

YouTube番組「ReHacQ」において言及



出典:YouTubeチャンネル「ReHacQ」

実業家でコメンテーターとしても活躍するひろゆき氏(西村博之氏)が、YouTubeで展開されているビジネス動画メディア「ReHacQ(リハック)」の中で自動運転開発に言及した。

「お台場で完全自動運転で事故った場合、損害賠償は国が出すからドライバーなしで動く自動運転をバンバン開発してくださいとすれば、世界中の自動車系が集まってくるし日本の技術もすごく上がると思う」といった内容だ。


AI(人工知能)開発・研究を論じる中で飛び出した発言だが、これは規制緩和や特区制度などに通じる興味深いアイデアだ。

歯に衣着せぬ物言いで人気を博するひろゆき氏。自動運転の専門家ではないものの、グローバルな知識や突飛なアイデアを武器にさまざまな業界の問題に対しメスを入れていく視点は必見に値する。

ひろゆき氏は、自動運転の現状をどのように分析しているのか。その発言に触れていこう。


■ReHacQにおけるひろゆき氏の発言
国がケツを持てば開発が促進される?

今回の発言は、YouTubeチャンネル「ReHacQ」の中で飛び出した。自民党の若手ホープ小林史明氏と東京工業大学准教授の西田亮介氏との対談で、AI開発における日本の利点などについて論じていた際、ひろゆき氏が言及した。

プラットフォームに関する規制の在り方やAI開発における日本の利点などの観点から、研究開発においてASEANやグローバルサウスの国々を巻き込んで開発するにはどうすればよいか――といった論点に飛び、国際的な共同研究の在り方に対し「国際的な共同研究の規模・金の桁が小さく、短期的な成果を求めがち」といった意見が出された際、ひろゆき氏が自動運転を例えに口を開いた。

ひろゆき氏は「現実的なところで、例えばお台場で、完全自動運転で事故った場合の損害賠償は国が出すから、ドライバーなしで動く自動運転をバンバン開発してください、というのでいけば、世界中の自動車系(開発企業)が集まってくるし、そこで日本の技術がすごい上がると思う。そのかわり、ものすごい損害賠償の額になるかもしれない。でも自動運転で損害賠償請求をどう抑えるか、保険を含めたモデルができれば世界中で売れる。お台場で交通事故起きまくりモデルはどう?」とひろゆき節を炸裂させた。

こうした提案に対し、対談者からは「規制改革特区のバージョンであり得るかもしれない」「そういうことを可能にするのが規制改革と特区の仕組み」「国内だけでやらず、グローバルな競争を考えて」「フジテレビの人かわいそう」といった意見が出された。


ティアフォーの名前も飛び出す

なお、その際グローバルな視点からオープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を展開するティアフォーの名前も飛び出した。

ティアフォーは多くの自治体と手を組んで自動運転サービスの展開を進めているが、1カ所ごとに許可を取らなければならない――といった許認可の在り方にも話題が飛んだ。小林氏は「規制というより国と地方の権限の見直しの問題。そこが日本が大きく変わるカギ」とした。

ざっくりではあるものの、明確な自動運転特区のようなものを創設するのは面白いアイデアだ。例えば、国が自動運転特区を希望する自治体を募集し、採用自治体には数年間毎年自由に使える助成金を交付する。

自治体は、一定条件を満たした不特定多数の自動運転開発企業にライセンスを発行するような形で公道走行を認める。事故を起こした際の対応や補償などについてもケツを持つ。

「このまちなら自動運転実証を存分に行える」という明確な図式を構築し、やる気のある開発企業にどんどん走行してもらうのだ。住民の理解醸成がカギを握りそうだが、そこは組長の手腕の発揮しどころだ。

【参考】関連記事としては「ティアフォーの自動運転/Autoware戦略(2023年最新版)」も参照。

■自動運転に関するひろゆき氏の発言
自動運転タクシーなどにも言及

このほかにも、ひろゆき氏が自動運転に言及した動画はいろいろあるようだ。

ひろゆき氏は、リスナーからの2024年物流問題に対する返答として、「2024年問題を知らない。自動運転が増えて配送業者の人の仕事が減るという意味で勝手に想像している」と勘違いを炸裂させつつ、EV(電気自動車)論を展開しながら「日本の場合仕事は減らないと思う」と話した。

その後、リスナーから労働時間規制の話と知らされたひろゆき氏は、「不利益ないんじゃない?副業で別の会社から受ければよい」と持論を展開した。

また、自動車から得られるデータの活用について、リスナーが「トヨタがデータをビッグデータ化し、政府・企業に売る時代になるのでは」といった考えの是非を聞かれたひろゆき氏は、「多くの自動車が自動運転で大量に走れば走るほどデータがたまっていく。どれだけの量のデータがあるかが重要。テスラはすでに世界中でデータを保存している。中国は個人情報云々がなく強制的にデータが取れる。日本の一メーカーがやるのは厳しいと思う」とした。

新しいものを受け入れない日本の文化がネックに?

また、「民間投資の仕組みが確立されていたら、今頃日本にもユニコーン企業が大量に生まれていたのではないか」とするリスナーの考えに対し、ひろゆき氏は「日本の場合、投資ができたとしても新しいサービスを受け入れない文化がある。日本企業はもともとラジコンヘリを作っていたが、ドローンではほとんどシェアをとれていない。ドローンは何だかわからず危険だから社会として受け入れないようになった。検索エンジンも著作権法上の問題があって日本のものはなくなってしまった」と例を示した。

続けて、「未来にこういう技術が広がったほうが良いよねというものであれば、ある程度の事故は受け入れるべき。交通事故で亡くなる人は年間3,000人いるが、じゃあ自動車って良くないと考えるか、便利だからどんどん発展させ、安全装置の開発や、そのうち自動運転になって事故を起こさない車が作れたら結果として社会にとって良いよねとするか。技術発展の上ではある程度犠牲はあると考えたほうが良いと思う。日本は自動運転技術もなかなか発展しないが、ラスベガスでは自動運転バス、カリフォルニアでは自動運転タクシーが動いている。そういった感じでほかの国のほうがどんどん技術が進む。日本は、自動運転で事故ったらどうなんの?みたいな感じで自動運転の技術が全然進まない」と自動運転に言及した。

自動運転タクシーは20年後くらいに普及?

また、タクシー会社で働く30歳のリスナーからの「今後のタクシーの展望は?」という問いに対し、「自動運転タクシーはたぶん20年後くらいには普及していると思う。30歳だと逃げきれないので他の仕事を選ぶほうが良いんじゃないか」と話した。

このほか、「自動車もそろそろソフトウェアの時代になると思う。ハードウェアは誰でも作れる時代になり、そこに安全に自動運転するソフトウェアを載せちゃう」など、ソフトウェアファーストの時代到来を予期している。

■【まとめ】思い切った施策で米中を追い上げ!!

開発面で米中に後れを取る日本。現状打破には、ひろゆき氏が提案するような奇抜なアイデアや思い切った施策が必要なのかもしれない。

【参考】関連記事としては「自動運転推進派の政治家・議員・知事一覧(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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