GMの自動運転車、ひき逃げされた女性を下敷きに 無人走行中に避けきれず

夜のサンフランシスコで「初の重傷事故」



出典:X@TerryMcSweeney(https://twitter.com/TerryMcSweeney/status/1709097787613487516

GM傘下の無人タクシー企業Cruise(クルーズ)の自動運転車が2023年10月2日夜、別な車両にひき逃げされた女性をひいて下敷きにする事故を起こした。事故が起きたのは米カリフォルニア州サンフランシスコのダウンタウン。女性は命に関わるケガを負っており、重傷となっている。

■別な車両に衝突された女性を避けきれず

Cruiseは事故当時の映像を捜査当局に提供しており、Cruiseが最初に女性をひいたわけではないことは明らかになっている。女性を最初にひいた自動車のドライバーは現場から逃走している。


ちなみにこの映像は公にはされていないが、米メディアには提供されており、女性が最初の車に衝突した際、ボンネットに乗り上げたあと、道路にたたきつけられたことなどが報じられている。

Cruiseの広報担当者は「人間が運転する車両が、Cruiseの自動運転車の左側の車線を走行中、歩行者に衝突した」と説明。その上で「その歩行者は衝突の衝撃で自動運転車の前に飛び出す形となり、自動運転車は衝撃を最小限に抑えるため、急ブレーキをかけた」としている。

出典:X@alwayswinning69(https://twitter.com/alwayswinning69/status/1709104611208966208/video/1
■自動運転車には運転手も同乗者もいなかった

Cruiseの自動運転車が女性をひいたとき、車両には運転手も同乗者もいなかった。事故が起きたあと、Cruiseの担当者がすぐに現場に駆けつけ、捜査当局に協力しているという。

サンフランシスコ消防局の担当者は米メディアの取材に対し、「自動運転車による重傷事故は今回が初めて」としている。


ちなみに報道によれば、サンフランシスコ警察はCruiseに対し、自動運転車が女性の上にある間は車両を動かさないよう指示したという。

【参考】関連記事としては「GM Cruiseの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。

■トラブル続きのCruiseの自動運転車

Cruiseの車両は過去に、消防署の業務を妨げたり、工事現場に突っ込んで固まる前のコンクリートにタイヤが埋まる状況になったりと、さまざまなトラブルを起こしている。ただし、これまでは人を負傷させるといった人身事故は起こしていなかった。

今回はCruiseが事故の最初の当事者ではなかったとはいえ、自動運転車が人を下敷きにしたという事実は、アメリカ国内における自動運転車の社会受容性に一定の影響を与える可能性がある。


今後はCruiseの自動運転システムが、目の前に突然あらわれた女性を避けることができなかったのか、技術的な面の捜査も行われるとみられる。今後の捜査の進捗に関心が集まりそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転車の事故(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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