自動運転向け保険が続々!解禁された「レベル4バス」に商機

NECファシリティーズと三井住友海上も共同開発



NECファシリティーズ株式会社(本社:東京都港区/代表取締役執行役員社長:橋谷直樹)と三井住友海上火災保険株式会社(本社:東京都千代田区/取締役社長:舩曵真一郎)は、自動運転レベル4のバス運行に関連する保険の共同開発に着手したことを2023年10月4日までに発表した。


開発にあたり、NECファシリティーズはサービス提供事業者から自動運転に関するリスク・情報を収集し、三井住友海上はNECファシリティーズに保険商品開発のノウハウを提供していく。

改正道路交通法が2023年4月1日に施行され、自動運転レベル4が解禁された現在、関連サービスについてはさまざまな商機が生まれている。自動運転バスに関する保険もその1つで、今後需要が拡大していくことが予想される。

■従来の保険ではカバーしきれない部分を補償

自動運転車の保険については、自賠責保険や自動車保険などでの対応が考えられる。しかし自動運転バスの運行業務を行うにあたっては、トラブルが発生した際に想定される、乗客などの移動にかかる代替交通費や事故現場への駆け付け費用などは、自動車保険では補償できない。そのため専用の保険が必要とされていた。

その課題を解決するため、NECファシリティーズと三井住友海上は提携し、自動運転レベル4を活用するバス輸送事業者やサービス提供事業者が、安心してサービス提供を行うことができる環境を支援するため、自動運転バスの運行業務に関連する保険の開発に取りかかる。


開発した保険は、2024年度中の提供開始を目指しているという。

■技術・サービス開発とともに、保険の開発も進む

自動運転関連の保険商品は、国内外で開発・販売が進められている。

あいおいニッセイ同和損害保険とZMPは、自動運転ロボット向けに専用補償を開発し、「自動運転ロボット専用保険プラン」として、2023年5月から販売を開始した。これも、同年4月の改正道路交通法の施行により、遠隔操作型自動運転ロボットの公道でのサービス実装が可能になったことによるものだ。

このプランでは自動運転ロボットの固有リスクに対応する専用補償を新設し、事故後の補償だけでなく事故の未然防止や事故後の影響を減らすことにより、安全・安心を提供する。具体的なサービスとして、自動運転ロボットのユースケースに応じたリスクコンサルティングの提供や、第三者に対する損害賠償に関する損害の補償、搭乗型自動運転ロボット乗車中のケガの補償、自動運転ロボット本体の損害の補償などがある。


なおこのサービスは、ZMPのロボット管理システム「ROBO-HI(ロボハイ)」の使用契約と併せて提案していくものになる。

出典:あいおいニッセイ同和損害保険プレスリリース(※クリックorタップすると拡大できます)

また損害保険ジャパンは、レベル4自動運転サービス向け「自動運転システム提供者専用保険」を開発したことを2022年2月に発表した。ティアフォー、アイサンテクノロジー、東京大学と共同で行った。損保ジャパンによると、自動運転導入事業者が事業に活用する自動運転車に対して、自動運転システム提供者が保険を付保する契約方式は国内初だという。

この専用保険は、自動運転サービスをサブスク型で導入する際に、自動運転システム提供者によるさまざまなサービスの1つとして提供される。まずは自動運転システム「Autoware」
を手掛けるティアフォーに提供、その後eve autonomyが展開する自動搬送サービス「eve auto」に適用する。当面はこの2社による自動運転サービスの実装とともに、レベル4自動運転向けの保険・サービスの検証を行い、今後多方面への展開を目指すという。

【参考】関連記事としては「自動運転車向け保険一覧」も参照。

■将来有望な「自動運転向け保険」ビジネス

自動車メーカーが保険サービスを提供している場合もある。米EV(電気自動車)大手のテスラは、世界の損害保険会社との提携のもと同社専用の自動車保険サービス「InsureMyTesla」を提供するほか、自社で保険事業を手掛ける「Tesla Insurance」も2019年に開始している。

日本での自動運転レベル4の解禁から半年が経過し、今後さらに自動運転関連のサービスが各業界で展開されることが考えられる。その1つが保険サービスで、特に自動運転の運用初期段階では予測できないトラブルが発生するおそれがあり、保険加入はサービスを下支えする。今後の成長が見込める事業の1つになりそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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