自動運転時代、「遠隔監視サービス」が保険会社の新ビジネスに

東京海上日動による新サービスに注目



出典:東京海上日動火災保険プレスリリース

東京海上日動火災保険(東京海上日動)と総合緊急通報サービスを手掛けるプレミア・エイドは2023年6月21日までに、「自動運転向け遠隔監視・インシデント対応サービス」の提供を開始することを発表した。

自動運転レベル4」(高度運転自動化)の社会実装を支えるための取り組みで、保険会社は自動運転時代、遠隔監視という「見守り」もビジネスとして展開していく流れになっていきそうだ。


また、この2社と東京海上ディーアールは、3社のソリューションを組み合わせた自動運転導入・運行支援パッケージ「Hawk SafEye(ホークセーフアイ)」の提供を開始するという。これは、自動運転車の走行前や走行中、事故時といった各フェーズに安心・安全を提供するためのサービスとなる。

■自動運転車向けに新サービス

国による無人自動運転移動サービスの推進や自動運転レベル4の公道走行認可、また自動運転車を用いた運送事業について遠隔監視などの一部業務の外部委託を可能とする計画が進む現在、自動運転に関する保険の整備は必須となってきている。

東京海上日動とプレミア・エイドは、東京海上日動が提供する通信機能付きドライブレコーダーを活用した緊急通報サービスの協業を通じ、保険金の支払いにとどまらない価値提供の検討を2017年4月から行っている。

そして両社は自動運転レベル4の社会実装を見据え、安心・安全な走行を支える遠隔監視や事故対応を含めたインシデントサポートといった各種サービスを構築した。


このサービスを提供するにあたり、プレミア・エイドは東京都千代田区に「自動運転向け遠隔監視センター」を開設し、自動運転関連事業者や自治体などのニーズに応じてサービスを提供していくという。

■サービスの4つの特徴は?

自動運転向け遠隔監視・インシデント対応サービスでは、4つのサービスを提供する。1つ目は「各種問合せコールセンター」で、自動運転車のユーザー向けに走行状況や乗車方法、トラブルなどの相談に幅広く対応する。

2つ目は「遠隔監視」で、自動運転車などの走行・運行状態を遠隔監視することで、事故やトラブルを未然に防止する。さらにトラブルが生じた際などには、オペレーターから乗客へ呼びかけを行い、自動運転関連事業者と乗客の走行・運行をサポートするという。

3つ目は「インシデント対応サービス」だ。事故やトラブル発生時に、消防などへの連携や現場への駆け付け、代替交通手段の手配といった対応を手配する。


4つ目は「円滑な事故対応サービス」で、東京海上日動の自動車保険に加入している場合は、このサービス提供時に把握した事故やトラブルの状況をプレミア・エイドと東京海上日動で連携することで、円滑な事故対応サービスを行う。

出典:東京海上日動火災保険プレスリリース(※クリックorタップすると拡大できます)
■「Hawk SafEye」のパッケージ内容は?

自動運転車の安心・安全な社会実装に向け、自動運転車の走行前や走行中、事故時の各フェーズでサポートを行う「自動運転導入・運行支援パッケージ」もスタートする。

「Hawk SafEye」と名付けられたこのパッケージでは、自動運転車の事故防止を支援する「リスクアセスメント」や、安心・安全な運行を支援する「遠隔監視・インシデント対応サービス」、事故に備える「保険」を自動運転関連事業者のニーズに合わせて提供するという。

■社会受容性を高めるためにも

一般目線では、自動運転車に関心がある人は多いものの、トラブル発生時の対応が心配という声は少なくない。自動運転に対する社会受容性を高めるために、今回のような保険の存在は必須になっていく。今後も保険会社の自動運転に対するアプローチに注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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