エストニア製自動運転EV、日本上陸!神戸市で体験試乗会

MiCaの体験試乗会は日本初



出典:神戸市プレスリリース

神戸市で、一般市民を対象にした「自動運転レベル4」に対応できる小型バスの体験乗車会が行われる。使用される自動運転車両は、エストニア企業のAuve Tech(オーブテック)製「MiCa」だ。MiCaの体験試乗会は日本初のことだという。

なお今回の取り組みにおいて自動運転車両とプラットフォームなどを提供するのは、ソフトバンク子会社のBOLDLY(本社:東京都港区/代表取締役社長:佐治友基)のようだ。


■日本初のMiCaの体験試乗会

自動運転小型バスの体験乗車会は、2023年9月23〜29日に神戸市須磨区の須磨海岸で実施される。

JR須磨駅前、中央広場前、東広場内の3つの停留所間を約30分間隔で運行する。予約無しでも乗車可能だが、満員の際は乗車できない場合があるため、LINEで事前予約するのが確実だという。運賃は無料。

出典:神戸市プレスリリース

これに用いられるのが、エストニア製の自動運転小型バス「MiCa(ミカ)」だ。自動運転レベル4に対応する車両で、車内にハンドルは無く、遠隔操作や自動での障害物回避が可能になっている。

出典:神戸市プレスリリース
■レベル4に対応するMiCaのスペックは?

BOLDLYはエストニアのAuve Techと提携し、新型自動運転車両「MiCa」を日本で展開することを2022年10月に発表している。日本でAuve Techの車両を導入するのは、BOLDLYが初だとされている。


BOLDLYはMiCaの日本仕様車を2022年度中に導入し、同社の自動運転車両運行プラットフォーム「Dispatcher」と接続し、2023年度中に国内での公道走行を目指すとしていた。

MiCaを製造するエストニアのAuve Techは、世界初の水素走行自動運転シャトルを含む、レベル4の自動運転シャトルの設計や製造を行っている企業だ。同社が開発したMiCaは、全長4.2メートル、全幅1.8メートル、全高2.5メートルのコンパクトな自動運転EV(電気自動車)で、定員は8人となっている。今回の体験乗車会では、車内に案内等を行う係員1名を配置するという。

車両には7台のLiDARセンサーと8台のカメラが搭載されており、周辺環境を把握して障害異物を検知すると自動で回避する。完全自律の無人運転が可能になっており、最新のセンサーとソフトウェアが搭載されているため、雪や雨が降っても走行できるという。充電時間約1時間という急速充電を実現しており、充電のため待機する時間が短縮できるため、1台の車両で運行時間を拡大できる。


■BOLDLYは自治体の実証実験で多数の実績

BOLDLYの旧社名はSBドライブで、ソフトバンクと東京大学発ベンチャーの先進モビリティの合弁として、2016年4月に設立された。2020年4月に社名をBOLDLYに変更している。

同社は、仏Navya製の自動運転シャトル「NAVYA ARMA」を活用した実証実験に多数参加している。代表的なのは茨城県境町で2020年12月からスタートした自動運転バスの取り組みで、日本の自治体初の定常運行となった。現在も毎日運行されており、2023年9月18日時点の累計乗車人数は2万116人、累計走行便数は1万6,435人にも上る。

そのほか羽田イノベーションシティや北海道上士幌町、愛知県日進市でも自動運転バスを社会実装している。

■エストニア発の自動運転技術に要注目

BOLDLYは、今年に入っても実証実験に多数参加している。1月には2025年の大阪・関西万博を見据え、私有地内で自動運転レベル4の実証を行った。また3月には北海道の東川町で雪道における自動運転バス走行の検証、石川県小松市で自動運転バスの実証を行った。

これまでの実証に活用されていたのはNAVYA ARMAであったが、今回の神戸市での取り組みを皮切りに、MiCaを用いた実証も増えていきそうだ。

またMiCaを開発するAuve Techはエストニア企業で、最近同国での自動運転に関する取り組みが目立っている。自律走行配送ポッドを開発するClevonは、ファストフード世界大手のケンタッキーフライドチキン(KFC)のエストニアでの自動運転デリバリーサービスを手掛けている。7月に河野太郎デジタル大臣がエストニアを訪問し、その様子をSNSに投稿し話題になった。

日本を代表する自動運転開発企業であるBOLDLYと自動運転先進国エストニアのタッグによる今回の神戸での取り組み。今後の展開にも要注目だ。

【参考】関連記事としては「BOLDLY、エストニア製自動運転バス「MiCa」展開へ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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