BOLDLY、エストニア製自動運転バス「MiCa」展開へ

「日本仕様車」を開発、どんな車両?



出典:BOLDLY公式サイト

ソフトバンク子会社のBOLDLY株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:佐治友基)は2022年10月30日までに、エストニア製自動運転バス「MiCa(ミカ)」を日本で展開することを発表した。MiCaを日本に導入するのはBOLDLYが初だという。

■MiCaの「日本仕様車」を開発へ

MiCaを製造するエストニアのAuve Techは、世界初の水素走行自動運転シャトルを含む、レベル4の自動運転シャトルの設計や製造を行っている。MiCaは、2022年10月中旬に発表されたばかりの新型車両だ。


BOLDLYとAuve Techは戦略的協業に合意しており、Auve TechはMiCaの日本仕様車の開発を進めるという。BOLDLYはMiCaの日本仕様車を2022年度中に導入して、同社の運行管理プラットフォームであるDispatcherと接続し、2023年度中に国内での公道走行を目指す。

Dispatcher=出典:BOLDLYプレスリリース
■「日本の技術が生かされている点」に注目

BOLDLYの佐治社長は「Auve Techが開発する車両のアーキテクチャーに日本の技術が生かされている点や、日本の保安基準を理解して設計されている点などを受けて、Auve Techとのパートナーシップの締結に至った」と述べている。

佐治氏の発言から、MiCaには日本の技術が生かされ、日本の保安基準を理解した上で設計されたことが分かる。もしかすると、そもそも日本での展開を狙っての開発だったのかもしれない。

Auve TechのJohannes Mossov(ヨハネス・モッソヴ)CEO(最高経営責任者)は、「BOLDLYのような強力なプレーヤーとの戦略的協業は、Auve Techの新型車両の市場投入を大きく早め、急速に高まる需要に対応するのに役立つ」と述べている。


■「MiCa」日本仕様車の特徴は?
出典:BOLDLY公式サイト

予定では、MiCaの日本仕様車は5つの特徴を有するようになるようだ。1つずつ解説しよう。

障害物回避機能の搭載

車両には7台のLiDARセンサーと8台のカメラが搭載されており、周辺環境を把握して障害異物を検知すると、自動で回避する。完全自律の無人運転が可能だという。

急速充電可能

約1時間で充電が完了し、1台の車両の運行時間が拡大できる。

コンパクトな設計

車両サイズは全長4.2メートル、全幅1.8メートル、全高2.5メートルとコンパクトながら、車内は広々とした空間が確保されている。最大8人まで乗車可能だ。小回りが利き、狭い道路での走行も問題ない。


さまざまな天候への対応

最新のセンサーとソフトウェアが搭載されているため、雪や雨が降っても走行できる。

重要機器やシステムの二重化構成

安全に関わるシステムであるステアリングやブレーキ、コンピューター、センサーなど、全てのシステムが冗長化されている。車両故障のリスクや発生が抑えられている。

■MiCaが公道を走行する日は遠くない

公道での自動運転車バスの実用化を実現しているBOLDLYが新たに扱う「MiCa」。日本仕様対応になった同車種が公道を走行する日は遠くなさそうだ。

▼Auve Tech公式サイト
https://auve.tech/

【参考】関連記事としては「自動運転バス・シャトル車種一覧(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事