ドイツのBMWグループは2023年7月31日までに、ドイツ国境に近めのチェコのソコロフ(Sokolov)にて、自動運転技術がテスト可能な新施設「フィーチャ・モビリティ開発センター」(FMDC)を開設したことを発表した。
同施設はBMWグループにとって中央ヨーロッパにおける初の開発拠点。投資額は3億ユーロ(約470億円)に上り、BMWの先進技術を試す施設として重要な役割を今後担っていく。
ちなみにBMWは、ミュンヘン近郊のアッシュハイム、フランスのミラマス、スウェーデンのアルジェプログにも自動車のテスト施設を有している。
■敷地は600ha、様々な走行条件を試験可能
新施設は、自動運転レベル4(高度運転自動化)までの自動運転と自動駐車のテストを想定して設計されている。
BMWの開発担当取締役であるフランク・ウェーバー氏は「600ヘクタールの広大な土地で、市街地や田園地帯、高速道路など、あらゆる走行条件を最大限の柔軟性と圧倒的な効率でテストできる」と強調し、「他に類を見ないテスト・サイト」と自信を見せている。
またBMW幹部は、新施設の電力は再生可能エネルギーによるグリーン電力によって100%まかなわれていることに触れ、「これはBMWの世界的な脱炭素化に向けた新たな一歩」と述べている。
■世界で続々増える自動運転テスト施設
自動運転の有望性を考慮すると、自動運転技術をテストできる施設は自動車メーカーや研究機関にとっては非常に重要な意味を持つ。海外のほか、日本国内でも開発が今後加速している流れになるのは確実だ。
海外では、ミシガン大学がいち早く「シティ型」のテスト施設を設けた。街中を走行することを想定して設計された「Mcity」だ。2015年に開設され、施設を優先利用可能な企業にトヨタやホンダなども含まれていることで、開設当時大きな話題になった。
そのほか、中国では自動運転技術を開発する百度(バイドゥ)が「Apollo Park」を開設している。韓国にも「K-City」があり、商業施設を想定した建物などがある。
日本における自動運転技術のテストが可能な施設は「自動運転のテストコースまとめ!日本でも続々登場」で詳しく説明しているが、トヨタが開発中のスマートシティ「Woven City」もテスト並びに実用化の絶好のフィールドとなるのは確実だ。
■十分に開発コストは回収できるはず
テスト施設の開設には一定規模の開発コストがかかるが、自動運転市場の将来的なマーケットサイズを考えれば、十分に投資コストは回収できると考える方が自然だ。BMWや他の自動車メーカー、大学などの研究機関の動きに、さらに関心が集まりそうだ。
【参考】関連記事としては「ミシガン大学の自動運転シティに(Google Earthで)行ってみた」も参照。