自動運転トラックの開発を手掛ける米ナスダック上場企業のTuSimple(トゥーシンプル)は2023年7月6日までに、ドライバーレスの完全自動運転トラックの公道走行に成功したことを発表した。
TuSimpleは日本でも2023年1月からレベル4の自動運転走行試験を開始しており、アジア事業の展開に力を入れていることがうかがえる。狙うは自動運転トラックにおけるアジア制覇か。
■米国、日本、中国で次々に走行試験
2015年創業のTuSimpleは、中国と米国の両方に拠点を持ち、自動運転トラックの開発を手掛けている。2021年12月に米アリゾナ州のツーソンとフェニックスを結ぶ高速道路で、自動運転トラックの完全無人オペレーションに成功したことを発表した。また2022年2月には、米国最大の貨物鉄道会社であるUnion Pacificを顧客として獲得したことを発表した。
日本においては、時間外労働の上限規則によるドライバー不足が深刻化する「2024年問題」を解決するため、2023年1月から東名高速道路で走行試験を開始し、日本での自動運転事業に本格参入することを同年6月5日に発表している。
中国では、2018年にTuSimpleの中国法人が上海市の臨港新区で自動運転の走行試験を開始している。現在、中国で60万キロ以上の走行実績があり、かつ無事故と道路違反ゼロを達成しているという。
その後、完全ドライバーレスの自動運転走行試験の許可を上海市の浦東新区から取得したことを2023年6月に発表した。これによりTuSimpleは、指定試験エリアで自動運転レベル4の完全自動運転走行試験を実施できるようになった。
【参考】関連記事としては「米企業TuSimple、東名高速で自動運転トラックの実証実施」も参照。
米企業TuSimple、東名高速で自動運転トラックの実証実施 https://t.co/f59wiKnQX0 @jidountenlab #自動運転 #トラック
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) June 7, 2023
■複雑な道路状況もクリア
今回TuSimpleが中国で行ったのは、ドライバーレスの完全自動運転セミトラックの公道走行だ。上海当局が指定した公道の約62キロのルートにて行われた。同社の自動運転トラックは、港湾エリアの都市部と高速道路の両方を走行し、信号や車線変更、部分的な車線閉鎖といった複雑な道路状況、霧や横風などの気象条件でも、問題なく走行できることを証明したという。
TuSimpleのCEO(最高経営責任者)であるCheng Lu氏は「2021年に米国で成功したドライバーレス走行に続き、今回の中国での快挙はもう1つの極めて重要なブレークスルーを意味する」とコメントしており、「自動運転業界における当社のリーダーシップをさらに強調するものだ」と自信を見せている。
■米国からアジアへシフト?
ちなみに中国での公道走行成功のニュースに続き、TuSimpleに関してもう1つ大きなニュースが入ってきた。同社は米国事業の売却を検討しているという。
ただし米国事業を売却したとしても、アジア太平洋地域などにおいてはレベル4自動運転を展開し続けていくという。米国からアジアへ、本格的にシフトしていくのだろうか。今後の行方を見守りたい。
ちなみにTuSimpleに関しては、今年5月、米国での従業員だけでなく全世界の従業員も対象に、30%をリストラすることを発表している。自動運転技術セクターの資金繰りが悪化する中で、バランスシートを維持するためというのが理由のようだ。
▼TuSimple公式サイト
https://www.tusimple.com/
【参考】関連記事としては「自動運転トラックの開発企業・メーカー一覧(2023年最新版)」も参照。