Googleが負ける!自動運転タクシー、「海外輸出」はGMが先

ドバイで実用化に向けテスト走行開始



出典:RTA公式Twitter動画

米GM傘下で自動運転開発を手掛けるCruiseは2023年4月10日までに、ドバイで自動運転タクシーの走行テストをこのほどスタートした。

ドバイでの自動運転タクシーサービスの実用化に向けたもので、ドバイ交通局(RTA)と共同で行う。2023年内には、ドバイで自動運転タクシーの運行が始まる予定となっている。


なお、米国で自動運転サービスを行っているのはCruiseとGoogle系Waymoの2社だ。海外展開を先に行ったのはCruiseで、その点ではWaymoより先行していると言える。

■自動運転車5台でテスト走行を実施
出典:RTA公式Twitter動画

ドバイのジュメイラ1地区で行われている走行テストで用いられているのは、シボレー・ボルトをベースにした自動運転車5台だ。この車両にはLiDARやレーダー、カメラが搭載されており、360度全方向での交通信号や標識、ドライバーの行動に関するデータ収集を行うことができるという。

RTAの公共交通機関部門CEO(最高経営責任者)であるAhmed Hashem Bahrozyan氏は、「今回のテスト走行で取得したデータをもとに、Cruiseの高度なAI(人工知能)技術と自動運転システムがドバイの交通状況に安全に適応できるようになる」とコメントしている。

■2030年までに交通手段の25%を自動運転に

RTAは、2030年までに交通手段の25%を自動運転に転換する「Dubai Autonomous Transportation Strategy」という戦略を策定している。それにあわせ、Cruiseは2023年のドバイでの自動運転タクシー運行開始から台数を徐々に増やし、2030年には4,000台まで規模を拡大する計画を立てている。

RTAとCruiseは、自動運転タクシーの運行に関する契約を2021年4月に締結した。ドバイにおける自動運転サービス市場を2029年までCruiseが独占する契約のようだ。


2023年3月には、RTA本部で開催された自動運転タクシーに関するワークショップにCruiseの技術チームが参加した。自動運転車の仕様の確認や、データ収集の段階、運用モデル、現地での運用の監視、事故対応などの概要を説明したという。

■米国を飛び出し、世界展開に動き出したCruise

自動運転タクシーを世界で初めて実用化したのはWaymoで、Cruiseは後塵を拝している。自動運転タクシーの有料化やドライバーレス化もWaymoが先行している。ただし、Waymoの展開エリアは今のところ米国内にとどまっている。

世界進出を先に行ったのはCruiseで、世界における自動運転タクシーの覇権を握るのはCruiseになるのか。それともWaymoや中国企業のバイドゥやPony.aiが追い上げるのか、今後が気になる。

▼Cruise公式サイト
https://getcruise.com/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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