世界の自動運転開発企業ランキングで、イーロン・マスク氏率いる米EV(電気自動車)大手テスラが最下位になるという調査結果が発表された。米メディアが報じたもので、調査はEV市場などの専門調査会社である米Guidehouse Insightsが行ったものだ。
■1位からMobileye、Waymo、Baidu
調査対象となったのは、小型・中型車向けの自動運転技術を開発する企業16社だ。
Guidehouse Insightsは、企業ビジョンや市場参入・生産戦略、パートナー、技術、商用化への準備などの要素を、実行性と戦略性という観点で総合的に評価した。その結果により、各社を「Leaders(リーダー)」「Contenders(競争者)」「Challengers(挑戦者)」「Followers(追随者)」の順に分類した。
一番上の「Leaders」に入ったのは、ランキング順に、Mobileye、Waymo、Baidu、Cruiseの4社だ。2番目の「Contenders」はMotional、NVIDIA、Aurora、WeRide、Zoox、Gatik、Nuro、AutoXの8社で、3番目の「Challengers」はAutonomous A2Z、May Mobility、Pony.aiの3社であった。
そして、一番下の「Followers」はテスラ1社という結果となった。つまり全16社中、テスラが最下位となったのだ。なおテスラは、2020年と2021年にも同様のランキングで最下位になっている。
1位:Mobileye
2位:Waymo
3位:Baidu
4位:Cruise
5位:Motional
6位:NVIDIA
7位:Aurora
8位:WeRide
9位:Zoox
10位:Gatik
11位:Nuro
12位:AutoX
13位:Autonomous A2Z
14位:May Mobility
15位:Pony.ai
16位:Tesla
■AutopilotとFSDの名称がたびたび議論に
テスラのADAS(先進運転支援システム)の名称である「FSD(Full Self-Driving)」と「Autopilot(オートパイロット)」は、しばしば議論を呼んでいる。
米カリフォルニア州では車両メーカーやディーラーに対し、マーケティング資料で「部分的な自動運転化機能」または「運転操作の一部を自動化する機能」を持つ車両を、「自動運転車」として機能すると消費者を信じさせる表現を禁じる法律が施行されている。
テスラのFSDやAutopilotは自動運転機能だと誤認されそうだが、実際の機能は自動運転レベル2相当のADASとなっている。しかし、同社からは今のところ名称変更などの発表はない。
【参考】関連記事としては「テスラの有料ソフト「完全自動運転(FSD)」、名称禁止に?」も参照。
テスラの有料ソフト「完全自動運転(FSD)」、名称禁止に? https://t.co/2dDngE4Jan @jidountenlab #テスラ #自動運転
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) December 30, 2022
■ごぼう抜きして首位に踊り出るのはいつ?
今回のランキングでトップだったのは、米インテル傘下のイスラエル企業Mobileyeだ。日本をはじめとするアジア諸国やドバイ、欧州など世界を舞台に自動運転サービス実用化に向けた取り組みを行っている。
2位のGoogle系Waymoは、2018年に世界初の自動運転タクシーサービスをアリゾナ州フェニックスで開始したのを皮切りに、カリフォルニア州サンフランシスコやロサンゼルスでも取り組みを拡大している。
CEO(最高経営責任者)であるマスク氏の発言がしばしば話題になるテスラ。自動運転機能の実用化はいつになるのか。このランキングでは不名誉な結果となったが、来年、再来年にはほかの企業をごぼう抜きして上位に躍り出ることになるのか、注目したい。
【参考】関連記事としては「テスラの自動運転技術(2023年最新版)」も参照。