テスラの有料ソフト「完全自動運転(FSD)」、名称禁止に?

米加州で「改正自動車法」が施行へ



米カリフォルニア州で成立した法案が、米EV大手テスラを2023年早々苦しめることになるかもしれない。同社が提供しているADAS(先進運転支援システム)の「FSD(Full Self-Driving)」と「オートパイロット」という名称が使用できなくなるかもしれないからだ。


■改正自動車法で禁止されていること

カリフォルニア州では自動車法が改正され、2023年1月から施行される予定となっている。その内容をサマリー的に説明すると、主に下記の点がポイントとなっている。

  • 自動車メーカーやディーラーはマーケティングなどの資料において、部分的自動運転の機能が、あたかも自動運転車として機能する、もしくは実際には含まれていない機能を有すると勘違いされるような表現を用いてはいけない。

上記における「部分的自動運転」とは、自動運転レベル2のことを指すと解され、テスラのFSDとオートパイロットは、いずれも機能はレベル2にとどまっている。

しかし、FSD(Full Self-Driving)を直訳すると「完全自動運転」、オートパイロット(Autopilot)は「自動操縦」となり、自動運転機能が実装されているという勘違いを誘発しやすく、これまでも問題提起されていた。

ちなみにカリフォルニア州の新法案では、「自動運転車」はレベル3〜5の車両を指すとしている。


■2023年のテスラ株も厳しい状況に?

テスラの株価はいま大きく落ち込んでいる。年初来で実に71.82%の下落で、Twitterを買収したイーロン・マスク氏が自身の保有株を売却していることや、上海工場の閉鎖に関するニュースが飛び買っていること、販売見通しが懸念されていることが原因とされている。

この上、FSDやAutopilotの名称が使えなくなることが公式に発表されれば、投資家のテスラへの投資意欲はさらに落ち込むかもしれない。2022年はさらにテスラ株にとっては厳しい1年となるのだろうか。

【参考】関連記事としては「テスラの自動運転技術(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)





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