Googleの自動運転車、「地球40周」しても負傷者ゼロ!業界をリード

事故は2件発生、軽微な接触は18件



Google系の自動運転開発企業である米Waymoは、同社の自動運転システム「Waymo Driver」を搭載した自動運転車が100万マイル(約160万キロ)の公道走行を達成したことを、2023年2月28日に発表した。これは、地球40周に相当する距離だ。


特筆すべきは、この100万マイルの走行において負傷者がゼロだったということだ。

■安全要員が運転席に座っていない状態で
出典:Waymo公式ブログ

Waymoの自動運転車は、サンフランシスコやフェニックスをはじめ米国の複数の都市の公道を走行し、その距離は100万マイルを突破した。この走行は、安全要員(セーフティドライバー)が運転席に座ることがなく、人間がハンドルを握っていない状態で達成したものだ。

ただし、負傷者はゼロだったものの、事故は2件発生していたようだ。ここでいう「事故」とは、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の自動車事故データベースに登録する基準を満たした衝突事故のことを指す。そのうち1件は、ドライバーが赤信号の手前で携帯電話を見ながら運転していたという車に、Waymo車が後ろから衝突されたという事故だった。

またデータベースには登録されない軽微な接触トラブルは18件あったという。駐車場からバックで出てきた車が停車中のWaymo車両に接触したり、プラスチック製の立て看板が風に飛ばされWaymo車両に接触したりというトラブルだ。人間が運転する別の車両が、停車中のWaymo車に衝突するということが接触事例の半分以上を占めていたという。


■人間とは逆に「夜間のトラブル」減少

Waymoの分析によると、夜間は人も車も少ないこともあり、接触トラブルは減少した。同社によると、深夜時間帯のサンフランシスコでは、日中に比べ歩行者は65%減少、自転車は85%減少、オートバイは83%減少するという。

ただし人間の運転による死亡事故は、夜間に起きる割合が高い。これはアルコールや疲労、スピード違反などが増加することが原因であると考えられている。Waymoの自動運転車は疲労もせず飲酒運転もせず、スピード違反もしない。

Waymoはこれまでに収集した膨大な走行データと最先端のシミュレーションシステムを駆使し、さらに自動運転能力を向上させていくという。

早い段階から業界をリードしてきたWaymo。自動運転業界ではアメリカではCruise、そして中国ではBaidu(百度)なども台頭してきているが、他社に追随を許さないくらい安全技術を向上させていけるかに注目したいところだ。


▼First Million Rider-Only Miles: How the Waymo Driver is Improving Road Safety|Waymo公式ブログ
https://blog.waymo.com/2023/02/first-million-rider-only-miles-how.html

【参考】関連記事としては「20億ドルの市場機会!Waymo、L.A.でも自動運転タクシー」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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