パトロンはMeta?解散のArgo AI、新たな自動運転ベンチャー設立か

米報道、トラック輸送などに特化か



Argo AIの創業者であるブライアン・サレスキー氏(左)とピーター・ランダー氏(右)=出典:Argo AIプレスリリース

2022年10月に事業閉鎖を発表した米Argo AI。自動運転開発の有力企業として知られていた。この企業の創業者が新たな自動運転スタートアップを立ち上げるというニュースが入ってきた。

米ブルームバーグ通信が報じたもので、自動車メーカー以外の企業から出資を受け、トラック輸送やライドヘイリング(配車サービス)に特化した事業を行うという。


■自動車メーカー以外の企業が立ち上げ打診

Argo AIの創業者でCEO(最高経営責任者)であったBryan Salesky氏と、同じく創業者で社長であったPeter Rander氏が、Argo AIの本拠地であったペンシルバニア州ピッツバーグに新会社を立ち上げ、40〜50人の従業員を雇用したようだ。なおArgo AIでCTO(最高技術責任者)を務めていたBrett Browning氏も加わるという。

新会社立ち上げは水面下で行われており、社名や出資企業なども非公開となっている。報道によると、自動車メーカーではない企業から本格的な自動運転開発企業の立ち上げを打診され、新会社の立ち上げに至ったという。今後その企業からの出資を受け、トラック輸送とライドヘイリングに特化した自動運転開発を行っていくようだ。

■GoogleとUber出身者が創業したArgo AI

Argo AIは、Googleの自動運転車開発チーム出身のSalesky氏とUber Technologiesの自動運転開発部門でリーダーを務めていたRander氏が2016年に設立した。主な出資者は米フォードと独フォルクスワーゲングループ(VW)で、2022年の自動運転企業の資金調達ランキングでは36億ドル(約5,000億円)で1位となっている。

経営は順調に見えたArgo AIだったが、2022年7月には従業員の5~6%に相当する150人を解雇することが報じられた。その後フォードとVWの自動運転開発における方針転換により、投資が引き上げられるという急展開となった。それによりArgo AIは事業停止することになり、事実上フォードとVWに吸収される形になった。


元々、Argo AIはサードパーティとして自動運転システムをさまざまなOEMに提供していく戦略を掲げており、特定の企業の傘下に収まることを望んでいなかった。しかし同社の事業清算により、エンジニアをはじめとする従業員はフォードとVWに吸収された。つまり、事実上の買収だとも考えられる。

なお、新会社があるピッツバーグには、フォードの自動運転技術の研究開発を担う新会社Latitude AIの本社もある。

■立ち上げを打診したのはFacebook?

新会社立ち上げを打診した企業が気になるところだ。自動車メーカーではなく資本力がある企業だとすると、大手IT企業だろうか。もしかするとGAFAMの中で唯一自動運転にアプローチしていないFacebook(メタ)かも。続報を待ちたい。

【参考】関連記事としては「自動運転業界、誰も予想してなかった「Argo AI閉鎖」の背景」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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