LiDARをトヨタへ?Innovizが「アジアの車会社」と大型契約

VWに続いての契約獲得、社名は明かさず



InnovizTechnologiesの創業メンバー。中央がCEOのOmer David Keilaf氏=出典:InnovizTechnologies公式サイト

LiDAR開発を手掛けるイスラエル企業Innoviz Technologiesはこのほど、アジアが拠点の大手自動車メーカーから、量産乗用車向けLiDARセンサーの直接サプライヤーとして選ばれたことを発表した。

■契約相手はもしかしてトヨタ

Innovizはどの自動車メーカーから選定を受けたかは明らかにしていないが、このパートナーシップによりInnovizは2024年度中に新たな収益を獲得できるようだ。


Innovizといえば、フォルクスワーゲン(VW)グループのブランド内で自動運転機能を持つ全車両にInnoviz製LiDARが供給されることを2022年8月に発表している。この大型契約では40億ドル(約5,330億円 )の先行受注があり、総売上見込みは66億ドル(約8,800億円)にのぼるとして話題を集めたばかりだ。

果たして「アジアが拠点の大手自動車メーカー」とは、どの企業だろうか。日本企業であればトヨタや日産ホンダだろうか。もしくは韓国企業のHyundaiだろうか。中国の自動車メーカーであることも考えられる。

ちなみに以下は、香港に拠点を置く市場調査会社Counterpointが調査した、現時点における各自動車メーカーの各車種におけるLiDARの供給元のデータだ。

出典:Counterpoint(※クリックorタップすると拡大できます)

【参考】関連記事としては「メーカー・車種別のLiDAR供給元一覧(2022年最新版)」も参照。


■2016年創業のイスラエルベンチャー

イスラエルのテルアビブに本拠地を持つInnovizは、イスラエル国防軍(IDF)やSTマイクロエレクトロニクスなどでエンジニア経験を持つOmar David Keilaf氏らにより2016年に設立された。

これまで自動車部品メーカー大手のカナダのMagnaや米Aptiv、日本のソフトバンクグループ、韓国のサムスンなどから出資を受けている。米ナスダック市場への上場はSPAC(特定目的買収会社)との合併を通じて、2021年4月に果たしている。

同社は2022年1月に、高い解像度と最大300メートルの範囲を検出しながらも低コスト化を実現した「InnovizTwo」を発表している。自動運転レベル3やレベル4に対応した次世代LiDARだ。

■CEO「Innovizの能力は示された」

LiDAR開発に特化した企業の中で、米Velodyne Lidarや米Luminar Technologiesに次いで、トップ3に入るかどうかの知名度を持つ企業だが、VWとの契約などを経て、この数カ月で同社の存在感は大きく高まっている。


同社の創業者でCEO(最高経営責任者)のOmar David Keilaf氏は「今回の選定によって、世界的主要自動車メーカーのTear 1サプライヤーとしてのInnovizの能力は示された」とコメントしている。

ちなみにVWとの契約でも、当初は契約相手が「欧州の自動車メーカー」とだけしか発表されておらず、その後、その自動車メーカーがVWだと明かされた。「アジアが拠点の大手自動車メーカー」がどこかも、後日、発表されるはずだ。気になるところだ。

▼Innoviz Technologies公式サイト
https://innoviz.tech/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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