自動運転業界、「ルミナーに転職」相次ぐ AppleやTeslaから

若き経営者の何に惹かれたのか?



出典:Volco Carsプレスリリース

LiDAR開発の米Luminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)に、米Appleで自動運転車開発プロジェクトのマネージャーを務めたCJ Moore(クリストファー・ムーア)氏が加入することが、このほど発表された。

発表は2022年5月25日付。この日、Luminarの米株式市場での株価は、一時8.2%高となった。ムーア氏のLuminar入りを投資家たちは好感したようだ。


▼CJ Moore氏|LinkedIn
https://www.linkedin.com/in/cj-moore-56509b76

テスラとアップルで経験を持つムーア氏

クリストファー・ムーア氏はLuminarで安全機能の開発チームを引っ張る立場となるようだ。同氏がAppleに入社したのは2021年の8月で、それから1年も経たずにLuminarに参画することとなった。

ムーア氏は過去、EV(電気自動車)大手米テスラにおいて、運転支援システム「オートパイロット」のディレクターを務めた経験もある。

出典:Linkedin
■部品開発企業を相次ぎ買収するルミナー

Luminarはオースティン・ラッセル氏が2012年に設立した企業だ。ラッセル氏は当時、高校在学中で17歳だった。2019年7月に量産車向けの3D-LiDAR「Iris」を発表。そしてラッセル氏が25歳の2020年12月に米ナスダック市場へのSPAC上場を果たしている。


トヨタをはじめ、ボルボ・カーズやモービルアイ、ダイムラートラックス、中国の上海汽車(SAIC)など多くの企業と提携し、量産車や自動運転車に搭載するLiDARの供給契約を着実に獲得してきた。2021年3月には2020年の受注額が目標の10億ドル(当時約1,100億円)を超えたと発表した。

Luminarは、センサー関連の部品を開発する企業の買収も進めている。2017年にはカスタム信号処理チップメーカーの米Black Forest Engineeringを、2021年にはレシーバーチップメーカーの米Optogrationを、2022年3月には高性能レーザーチップを開発する米Freedom Photonicsを買収した。

■人員体制の強化へ「引き抜き」続々

人員体制の強化にも励んでおり、今回のCJ Moore氏の加入以前にも、有力人物を引き抜いている。


2020年7月にはゴールドマンサックスの自動車部門で責任者を務めていたトム・フェニモア氏を、CFO(最高財務責任者)に任命した。2021年4月にはテスラで法務担当副社長を務めていたアラン・プレスコット氏を引き抜き、Luminarの最高法務責任者に就任させた。

プレスコット氏は自動車業界で豊富な経験を持つ弁護士であり、フォードで10年勤務した後、2017年にテスラに入社した。テスラには約4年在籍した。Luminarはプレスコット氏に6年間で3,000万ドル(当時約35億円)規模の報酬を提示したようだ。

【参考】関連記事としては「報酬は6年間で35億円!Luminarが引き抜いたテスラ元副社長」も参照。

■ルミナーはLiDAR業界で最有力?

過去にはテスラ元副社長を引き抜き、部品開発企業の買収も続けているLuminar。LiDAR企業が続々と立ち上がっているなか、最有力企業と呼んでいいのではないだろうか。今後も若き創業者が引っ張るLuminarの攻めの経営に注目していきたい。

▼Luminar Technologies公式サイト
https://www.luminartech.com/

■自動運転ラボが転職支援サービスを提供

自動運転業界やMaaS業界に精通した自動運転ラボでは「自動運転・MaaS業界特化型転職支援サービス」を提供しています。登録をご希望の方は下記のフォームより必要事項を記入の上、お申込を完了させて下さい。ご登録いただいた後、キャリアコンサルタントよりご連絡をさせて頂きます。

【参考】関連記事としては「Luminarの年表!自動運転の目「LiDAR」を開発」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事