マツダと自動運転(2022年最新版)

Co-pilot1.0を2022年導入予定



ブランドエッセンスに「走る歓び」を掲げるマツダ。車を操る楽しさ・喜びをはじめ、カーライフを通じて人生に輝きを提供することをコーポレートビジョンに据えている。







2020年に創立100周年という大きな区切りを迎えたばかりだが、CASE(C=コネクテッド、A=自動運転、S=シェアリング・サービス、E=電動化)をはじめとする次の100年にどのように立ち向かっていくのか。

この記事では、自動運転やADAS(先進運転支援システム)を中心にマツダの取り組みに迫っていく。

■ADAS関連の取り組み
基本安全を重視するProactive Safety
出典:マツダ公式サイト

交通安全に資するADAS開発においては、事故リスクを低減する予防安全と事故被害を軽減する衝突安全の観点が指標となっているが、マツダはこれらの視点に加え、良好な運転環境と優れた操縦安定性によって安全運転をサポートする基本安全の観点も重視している。

こうしたマツダの姿勢を示す考え方が「Mazda Proactive Safety(マツダ・プロアクティブ・セーフティ)」だ。体格やアイラインゾーンなどに左右されず最適な運転姿勢を保つことができるドライビングポジション、前方道路から目や意識、ステアリングから手が離れるといった不注意状態を低減するヘッズアップコクピット、パノラマ視認性・連続視認性・夜間視認性を追求した視界性能、ハンドル修正操舵や乗員の体の揺れを低減し、高速走行や悪路における安定性を向上させるG-ベクタリング コントロールなどで安全運転をサポートする考え方だ。

標準化・高精度化を進めるADAS「i-ACTIVSENSE」
出典:マツダ公式サイト

予防安全や衝突安全においては、ADAS「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」が設定車種の全グレードに標準装備されている。

走行時の安全サポート機能として、長距離走行時などのドライバー負担を軽減するレーダー・クルーズ・コントロール、追従走行とステアリングアシストで渋滞時の運転疲労軽減をサポートするクルージング&トラフィック・サポート、衝突の危険を検知して衝突時の被害軽減を図るスマート・ブレーキ・サポート、車線に沿った安全走行をアシストするレーン・キープ・アシスト・システムなどを備えている。

このほか、衝突回避サポートや衝突時の被害軽減を図るアドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポートやペダルの踏み間違いによる急発進を抑制するAT誤発進抑制制御、後退時に車や障害物を検知して衝突時の被害軽減を図るスマート・シティ・ブレーキ・サポート、目視で確認しづらいエリアの安全確認をサポートする360度ビュー・モニターとフロントパーキングセンサー、隣車線側方や後方から接近する車両を検知し危険回避を促すブラインド・スポット・モニタリング、交通標識の見落としを防ぐ交通標識認識システム、ドライバーの疲労や眠気を検知して休憩を促すドライバー・モニタリングなど、各種機能が搭載されている。

エンジン始動後、時速65キロを超えると作動し、疲れていない状態でのドライバーの運転とクルマの動きを学習した後、この学習したデータと実際の運転状況に大きな違いが出るとドライバーに休憩を促すドライバー・アテンション・アラート機能などもある。

機能ごとに設定車種は異なるが、マツダはコンパクトカーからハイエンドモデルに至るまで、同技術の標準化・高精度化を進めている。

■自動運転関連の取り組み
人間中心の自動運転コンセプト「Mazda Co-Pilot Concept」

2021年6月に発表した技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」で、人間中心の自動運転コンセプト「Mazda Co-Pilot Concept(マツダ・コ・パイロット・コンセプト)」の商品展開に言及した。

Co-Pilot Conceptは、ドライバーが手動制御している際もシステムがドライバーと車両の動きをしっかりと把握し、仮想運転をしている状態を維持する。危険と判断した場合にシステムがオーバーライドして自動運転で最適な場所に車両を誘導し、周辺を含めて安全な状態を維持するほか、自動で外部に緊急連絡を行う。

つまり、手動による通常運転時もシステムがバックグラウンドで作動し、車両の挙動などをチェックしているのだ。有事の際にシステムが顔を出し、自動運転技術によって安全を確保する仕組みのようだ。クルマを操るという運転の楽しさを大前提に据えた自動運転の在り方と言える。

2022年に導入を開始
出典:マツダ公式YouTube動画(https://www.youtube.com/watch?v=4ButpIPLKpY&t=978s)

第1段階として、ドライバーの状態を常時モニタリングして急な体調不良などを検知した際、自動運転に切り替えて安全な場所に移動・停車し、緊急通報を行う「Mazda Co-pilot1.0」を2022年のラージ商品群から導入開始する予定としている。その後、2025年までに標準装備化を目指す計画だ。

当面の位置付けとして、Co-pilotはADASにとどまる可能性も考えられるが、システムがバックグラウンドで状況を把握し続ける「仮想運転」というコンセプトは、手動運転を前提とした自家用車における自動運転の在り方として明解だ。

将来的な発展系として、ドライバーの異常以外にも衝突や路外逸脱などの可能性を予見し、システムが自動介入して事故を未然に防ぐ技術なども考えられる。開発の進展に期待が寄せられるところだ。

【参考】Mazda Co-Pilot Conceptについては「マツダ、2022年に自動運転機能を導入!突然の運転手の体調不良に対応」も参照。

悪路耐久試験への自動運転装置の適用

「2020年マツダ技報」では、悪路耐久試験に自動運転装置を活用する事例が紹介されている。耐久試験における課題解決に自動運転技術が貢献する内容だ。

車両開発時の信頼性評価における耐久信頼性試験は、従来テストドライバーが実際に耐久車に乗車する形で行ってきたが、長時間続くため昼夜交代制の勤務で、ドライバーの判断ミス防止や労務環境の改善、試験期間の短縮が課題となっていた。

この課題を解決する打開策として、衛星測位システムから得られる位置情報と速度情報を活用する自律型の高精度GPS方式に着目し、イタリアHI-TEC社の自動運転装置を導入して走行試験に取り組んだ。

運用方法や異常時の再現性などの課題を解決しながら改善を図り、一定の成果を得たようだ。今後、1周5キロの耐久周回コースをはじめ、耐久試験以外にも自動運転装置の反復精度が活用できるテストへの展開を考えていくという。

自動運転技術を有効活用する1つの好例と言えそうだ。

■マツダのビジョン
CASE時代の価値競争に向け開発促進

2020年11月には、新型コロナウイルスの影響を勘案し中期経営計画の見直しを発表した。ブランド価値向上に向け、近々では制御技術による継続的商品改良やロータリーエンジン技術を使ったマルチ電動化技術の開発などを進め、CASE時代における新しい価値競争に挑む方針だ。

これまでは、横置きアーキテクチャーやパワートレイン、電動化、ADAS、コネクティビティといった新世代スモール商品群の多種多様なハードウェアの骨格開発を進めてきたが、今後はCASE技術の進化とハードウェアのアップデート、SKYACTIV-Xやi-ACTIVSENSEのアップデートなど制御技術によるハードウェアの価値の進化、縦置きアーキテクチャーの開発など足場を固める。

そして、ハードウェアの価値向上や価値を創造する統合制御開発、エレキプラットフォーム・人財・IT・仲間づくり、次世代EV(電気自動車)専用プラットフォーム開発などでCASE時代の新しい価値競争に対応していく方針だ。

【参考】関連記事としては「CASEとは?意味は?」も参照。

メーカー5社で次世代車載通信機の仕様を共同開発

技術開発長期ビジョンでは、Co-Pilotのほか、次世代移動サービスの基盤となるコネクテッド技術やソフトウェア技術にも挑戦していく方針を掲げている。

次世代移動サービスとなるMaaSやOTAによるクルマの機能アップデートなどに向け、基盤となるソフトウェア技術の開発を強化する。コネクテッド関連では、より安全で快適なサービスの早期提供に向け、マツダを含む5社で次世代車載通信機の技術仕様の共同開発に合意したことを2021年4月に発表した。

より安全で快適なコネクテッドサービスの早期提供に向けて、スズキ、ダイハツ、スバル、トヨタと5社共同で次世代車載通信機の技術仕様を開発し、通信システムの共通化を推進していく。

車両内外の迅速な情報通信を可能にする次世代電気電子アーキテクチャー(Electric Electronic Architecture:EEA)の開発も推進していくとしている。

■【まとめ】Co-pilot1.0や仮想運転技術に注目

近々では、2022年に導入開始予定の「Mazda Co-pilot1.0」に注目が集まる。ドライバーの異常を検知した際、自動運転に切り替え安全な場所に移動・停車するという機能が、どの程度の道路条件をカバーするのかなど、興味が尽きないところだ。

また、今後の自家用車における手動運転と自動運転の両立を考える上で、「仮想運転」というコンセプトがどのように進化し、どのように実装されていくのか。マツダの新たな挑戦に期待だ。

【参考】関連記事としては「自動運転、歴史と現状」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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