自動運転業界の連続起業家バーネット氏、次はKodiakを売却or上場?

日本のSIP Global Partnersなどが出資



出典:SIP Global Partnersプレスリリース

自動運転トラック開発のスタートアップ米Kodiak Roboticsが、独立系ベンチャーキャピタルのSIP Global Partners(本社:東京都港区/代表:齋藤茂樹)などから出資を受けたことが2021年11月16日までに発表された。Kodiak RoboticsはシリーズBラウンドで総額1億2,500万ドル(約142億円)を調達したという。

市場調査会社のAcumen Research and Consultingによると、2020年から2027年における自動運転業界のCAGR(年平均成長率)は20.5%になり、2027年の市場規模は705億ドル(約8兆円)に達すると予測されている。


SIP Global Partnersは、Kodiak社の技術や事業が日本をはじめASEANや中東、北アフリカ地域でも展開できるポテンシャルがあると高く評価しており、グローバル展開を支えたい考えだ。

■順調な資金調達と事業拡大を続けるKodiak社

シリコンバレーで2018年に誕生したKodiak社は、長距離輸送トラックの自動運転技術開発と貨物輸送サービスを提供している。2021年1月には、自律型トラックセクターで自動運転モードをオフにしないDisengage-free(ディスエンゲージフリー)の貨物輸送を業界で初めて発表した。現在米テキサス州で商業輸送ルートを実用化し、サンフランシスコではテスト輸送を行なっている。

2018年8月に4,000万ドル(約44億円)の資金調達を発表し、自動運転トラックを活用した高速道路での無人輸送を念頭に、トラック専用のフルスタックソリューションの開発を始めた。これまでブリジストングループの米国グループ会社であるブリヂストン・アメリカス・インクやBMWグループのBMW i Venturesなどからも出資を受けている。

2019年には米テキサス州でセーフティードライバー付きの自動運転のトラックを8台走行させる計画を発表し、同時に貨物輸送のオペレーションなどを支援する施設の開設についても明かした。2020年12月には400マイルの往復輸送を2度達成し、ラスベガスで開催された世界最大の技術見本市「CES 2021」ではイノベーション賞を受賞している。


出典:SIP Global Partnersプレスリリース
■シリアルアントレプレナーのドン・バーネット氏

Kodiak社の創業者兼CEO(最高経営責任者)のドン・バーネット氏は、自動運転業界の連続起業家(シリアルアントレプレナー)だ。Google系Waymoの自動運転プロジェクトでの経験を経て、2016年にUberへの売却に成功した自動運転トラック開発のスタートアップ企業「Otto(オットー)」創業の経歴を持つ。

バーネット氏のもとにはGoogleやWaymo、Uber、Otto、Aptiv、Lyftなどから集まった業界トップクラスの精鋭エンジニアが集結しているという。同氏の次の一手として、Kodiak社の売却または上場を成功させるのではと噂されている。

バーネット氏は今回の出資について「SIPの出資は、私たちが事業を成長させ、業界をリードする自動運転技術を開発し続けるために重要だ。また、その支援は出資にとどまらず、世界最大のトラック市場に深く根ざしている強みを生かし、すでにKodiakのアジア展開の扉を開き始めている」とコメントしている。

■バーネット氏の今後の動きに引き続き注目

順調な資金調達と事業拡大を続けるKodiak Roboticsだが、CEOのバーネット氏が同社を売却または上場させるのか、次の一手に注目が集まる。すでに水面下では新たな事業を準備しているのかもしれない。自動運転業界活性化の一旦を担う同氏の今後の動向に引き続き注視していきたい。


▼Kodiak Robotics公式サイト
https://kodiak.ai/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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