中国の自動運転開発スタートアップであるWeRide(文遠知行) は2021年8月3日までに、物流業界向けの自動運転技術開発を手掛けるMoonX(牧月科技)を買収し、子会社化したことを発表した。
WeRideは2021年に入ってから、660億円を超える資金調達やアメリカでの無人テスト許可の取得など、事業をハイスピードで展開させている印象だ。
■自動運転レベル4に注力するWeRide
中国の数ある自動運転スタートアップの中でも、WeRideは自動運転レベル4(高度運転自動化)の技術開発に注力する企業として知られる。自動運転レベル4は、あらかじめ設定された「ODD」(運行設計領域)の範囲内で緊急時でもシステムが対応を担う技術段階だ。
そんなWeRideは、レベル4の自動運転タクシーサービスの開発に力を入れており、2020年7月には中国・広州で「完全無人」での自動運転タクシー実証を開始し、商用展開に向けた課題の洗い出しや走行データの収集などを進めている。
またWeRideについては2018年、日産・三菱・ルノーの戦略的ベンチャーキャピタルファンド「アライアンス・ベンチャーズ」から資金調達を行っていることも明らかにされている。
【参考】関連記事としては「公道では中国初!WeRide、「完全無人」の自動運転実証を開始」も参照。
公道では中国初!WeRide、「完全無人」の自動運転実証を開始 https://t.co/OXZlOt6lXg @jidountenlab #自動運転 #WeRide #中国
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) July 18, 2020
■買収、資金調達、許可取得…止まらない勢い
そして冒頭触れたとおり、WeRideは2021年も積極的な動きを見せている。2021年4月には、米カリフォルニア州で無人の自動運転車両をテストする許可を取得した。
また2021年7月には、シリーズBとシリーズCの資金調達によって6億ドル(約658億円)以上を資金調達を行ったことを明らかにした。
そして今回、買収金額は公開されていないが、MoonXを買収したことも発表した。今回の買収により、優秀なエンジニアを一気に50人余り獲得したとみられる。MoonXは物流業界向けの自動運転技術を開発してきたことから、WeRideの事業領域は物流にも広がりそうだ。
■中国のライバルたちとどう差別化を図るかに注目
中国においてはDidi Chuxing(滴滴出行)やトヨタが出資するPony.ai(小馬智行)、ネット大手のBaidu(百度)などライバルが多いが、今後これらの企業とどう技術力やサービス力で差別化を図っていくかがポイントとなる。
▼WeRide公式サイト
https://www.weride.ai/en/
▼WeRideプレスリリースページ
https://www.weride.ai/en/media/
▼WeRide Announces Acquisition of MoonX.AI
https://www.weride.ai/en/muyue-en/
【参考】関連記事としては「カリフォルニア州、WeRideに自動運転試験の「ドライバーレス」許可」も参照。