シンガポールを拠点に世界各地でオンデマンド相乗りサービスを展開するSWAT Mobilityは2021年2月16日までに、独立系ベンチャーキャピタル(VC)のグローバル・ブレインをリード投資家として、資金調達を実施したことを発表した。
今回の投資を受けて、日本におけるサービス開発やモビリティに関するさまざまな課題解決の取り組みを前進させていくようだ。資金調達額は明らかにされていない。
SWAT Mobilityはこれまでに、2017年のシードラウンドで300万シンガポールドル(約2億4,000万円)を、2019年にはシリーズAラウンドで1,010万シンガポールドル(約8億円)を調達したと発表している。ちなみにシリーズAでは「東京大学エッジキャピタル」(UTEC)がラウンドを主導した。
■相乗り系サービスを7カ国で展開するSWAT Mobility
SWAT Mobilityは2016年に設立されたスタートアップ企業だ。乗客を効率良く相乗りさせるルート最適化アルゴリズムの開発で強みがあり、すでに相乗り系サービスをシンガポールや日本、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、オーストラリアで展開している。
オーストラリアではオンデマンド公共バス、東南アジアでは企業や工業団地向けの通勤送迎サービスを展開しており、日本では2020年2月に法人を設立し、ケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(J:COM)の営業員向けのライドシェアアプリを提供している。
【参考】関連記事としては「営業スタッフ向けにライドシェアサービス!J:COM、ルート最適化技術も駆使」も参照。
そんなSWAT Mobilityは日本を重点国と位置づけ、今後、地方自治体や交通事業者向けのオンデマンドバスの導入・推進などに力を入れていくという。
グローバル・ブレインの百合本安彦社長は「ルート最適化アルゴリズムを活用したデマンド型交通の市場規模は益々拡大している」とした上で、「SWAT Mobilityは優れたルート最適化アルゴリズムを開発し、大人数かつ広範囲のさまざまなユースケースにおいて、多くの課題を解決できると期待している」とコメントしている。
■今後大きなニーズが予想される「最適化技術」
乗客を効率良く相乗りさせる最適化技術は、今後大きなニーズが日本国内で期待される。
現在、過疎化や高齢化が進む地域では従来型の公共バスの収益性が悪化しており、「住民の足」が存続の危機を迎えている。そんな中、効率良く乗客を乗せて巡るオンデマンド型の交通サービスは、収益性と利便性の両方を兼ね備えるものとして注目を集めている。
こうした将来性もあり、国内でもルート最適化技術の開発に取り組む企業が増えており、SWAT Mobilityがその中でどのくらい存在感を維持・拡大していくのか、ウオッチしていきたい。
【参考】関連記事としては「輸配送ルート最適化を支援!オプティマインドとフレクトが連携、自動運転領域でも期待の技術」も参照。