ロイター通信の報道によると、東南アジアの配車サービス最大手であるGrab(グラブ)が2021年中にアメリカで株式市場への上場を予定しており、少なくとも20億ドル(約2,080億円)を調達する方針だという。
シンガポールに本社を置くGrabはこの件についてコメントを控えているが、もし上場すれば海外市場における東南アジア企業の上場としては過去最大規模になることが見込まれる。
■東南アジアで1人勝ち状態のGrab
Grabはシンガポールのほか、マレーシアやインドネシア、タイなど東南アジア各国で、ライドシェアサービスやフードデリバリーサービス、宅配サービス、モバイル決済サービスなどを提供していている。
Grabは2018年に米Uberの東南アジア部門を買収し、東南アジア地域での配車サービスでは事実上1人勝ちの状態になっているほか、1つのアプリでさまざまなサービスを利用できる「スーパーアプリ」としての存在感も高めてきた。
自動車を使った配車サービスだけでなく、東南アジアで広く使われている「トゥクトゥク」といわれるバイクと貨車を使ったタクシーや、3輪自動車のタクシーなども取り扱っており、東南アジアならではのローカライズを行っているところが特徴だ。
■自動運転タクシーの展開計画にも注目
Grabは日本企業との関連も深い。これまでにソフトバンクグループやトヨタから資金調達を行っている。また、Grabはシンガポールの自動運転ソフト開発企業であるnuTonomy社と提携し、2022年までに東南アジアで自動運転タクシーを展開すると発表している。今後の具体的な計画の発表に注目が集まる。
世界ではライドシェア企業の上場が相次ぐ。世界最大手のUberや米準大手のLyftもアメリカ国内ですでに上場しており、中国大手のDidi Chuxingも2021年には香港市場で上場する見通しだ。こうしたライドシェア大手に続くGrabの上場は、世界の投資家から大きな注目を集めそうだ。
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転領域における投資まとめ」も参照。