
中国の自動運転開発企業WeRide(ウィーライド)が、次の展開先候補に日本を挙げた。オーストラリア、韓国、東南アジアと並び、日本のロボタクシー市場も同社の狙いの一つに入った形だ。
WeRideの海外売上高は前年同期比164%増。展開先は13カ国60都市を超え、右ハンドル仕様のロボタクシー開発も進んでいる。
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■WeRideが日本ロボタクシー市場を狙う
WeRideは中国・広州に本社を置き、ロボタクシーや自動運転バスを手がける自動運転開発企業だ。ハンCEOは8月13日、日本含め、オーストラリア、韓国、東南アジアを新たな展開先の候補として検討していると述べた。
なかでも具体的に動いているのがオーストラリアだ。CEOは同国について、規制当局と可能性を協議していると説明した。欧州各国との協議も続いているという。
一方、日本は韓国、東南アジアとともに候補として名前が挙がった段階。参入時期や提携先、対象都市は示されていない。
ただし布石はある。WeRideは6月、中国の商用車メーカーGeely Farizon(ジーリー・ファリゾン)などと、右ハンドル仕様のロボタクシーを共同開発すると香港で発表した。Geely Farizon側の発表では、今後の展開先としてシンガポール、英国、オーストラリアとともに日本の名前が挙がっている。左側通行の市場に向けた車両の準備は、すでに始まっていると言える。
中国の自動運転開発企業が、日本を展開先候補として公に挙げた。米国勢、英国勢に続く勢力が加われば、日本のロボタクシー市場では、提携先となる国内事業者の選択が競争の焦点になるだろう。
【参考】関連記事としては「中国 右ハンドル自動運転車を開発へ 狙いは日本か」も参照。
■海外売上高164%増、拡大を後押しする決算
候補市場の拡大を後押ししているのが、好調な決算だ。WeRideの2026年第2四半期決算の総売上高は前年同期比82.2%増の2億3170万元だった。
伸びが目立つのは海外である。海外売上高は同164.4%増と、全体の伸びを大きく上回った。決算説明会では、海外が総売上高の4割近くを占めるとの説明もあった。
車両の規模も拡大している。7月末時点で、特定の条件下で運転を完全に自動化する自動運転レベル4の車両は約3400台。このうちロボタクシーは1800台を超える。年末までに全体で5000台、ロボタクシーは2600台に増やす計画だ。
ハンCEOは、長期目標として2030年までに数万台、2035年までに100万台のロボタクシーを展開する構想を示している。中国の自動運転開発企業にとって、海外のロボタクシー市場は新たな収益源であり、成長の柱になりつつある。
【参考】関連記事としては「中国WeRide、ロボタクシー売上「3カ月で2.4倍」」も参照。
■中東で完全無人、欧州は6カ国へ
海外展開で先行するのが中東だ。WeRideは米配車大手ウーバー(Uber)と組み、アラブ首長国連邦のアブダビで2025年11月、運転席に人が乗らない完全無人のロボタクシーの商用運行をヤス島で始めた。2026年3月にはドバイでも、完全無人での有料運行を開始している。
ただし、すべてが無人というわけではない。アブダビ中心部など、安全要員が同乗する区域も残る。中東のロボタクシーは7月末時点で約400台に達した。
欧州では、フランス、ベルギー、スイス、スペイン、スロバキア、デンマークの6カ国に足場を築いた。フランスでは仏自動車大手ルノー(Renault)グループと組み、テニスの全仏オープンの会場で自動運転バスを運行している。2026年で3年連続となった。スイスのチューリヒ空港でも、前列の安全運転手を外した自動運転バスが走る。
もっとも、欧州のロボタクシーは計画段階のものが多い。スペインのマドリードでは、ウーバーと年内に商用の試験サービスを始める予定で、当初は安全運転手が同乗する。マドリードは、両社が展開で合意した15都市のうち4都市目にあたる。スイスのチューリヒ圏でも、ウーバーとの商用サービスを計画している。
8月に参入を発表したデンマークは、現地のカーシェア事業者と組む。規制当局の承認を前提に、2027年前半のサービス開始を目指す。
右ハンドル仕様はシンガポールと香港から
アジアでは、シンガポールのプンゴル地区で、東南アジアの配車大手グラブ(Grab)と一般向けの運行を始めている。
加えて、右ハンドル仕様のロボタクシーの商用展開を、シンガポールと香港で始める計画だ。右ハンドル車は、同じ左側通行のオーストラリアや日本にも対応しやすい。候補に挙がった市場と、車両開発の方向は重なっている。
■日本のロボタクシー市場、海外勢の参入計画が相次ぐ
日本のロボタクシー市場では、海外勢の計画が相次いでいる。9月には米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)が、タクシーアプリのGO、タクシー大手の日本交通と、東京での商用化に向けた提携合意を発表している。
3社は2027年中に、レベル4による完全無人のタクシー運行を東京で始めることを目指す。段階的に100台規模へ広げる計画だ。正式な開始時期は、必要な許認可を得たうえで決まる。
英国の自動運転開発企業Wayve(ウェイブ)も動く。ウーバー、日産自動車と覚書を結び、2026年後半に東京で試験導入する準備を進めている。車両は日産の電気自動車「リーフ」で、当初は安全運転手が同乗する。
対するWeRideは、日本での提携先も時期も公表していない。現時点では候補の一つという位置づけにとどまる。それでも、米国勢と英国勢が動く東京に中国勢が加わる可能性が示されたことは、日本の自動運転タクシー市場にとって見過ごせない動きだ。
【参考】関連記事としては「ついにウェイモのアプリが日本を席巻する序章か GOと日本交通が交渉に折れたのか」も参照。
■WeRideが狙う日本ロボタクシー市場、今後の焦点
WeRideの次の一手は、オーストラリアが先行し、日本は候補の段階にある。それでも、海外売上高164%増という実績と右ハンドル車の開発は、アジア太平洋への拡大が構想にとどまらないことを示している。
同社の海外展開は、自動運転技術を提供し、車両の運行や配車は現地の事業者が担う形が基本だ。中東ではウーバー、デンマークではカーシェア事業者と手を結んだ。日本を狙う場合も、どの事業者と組むかが最初の焦点になるだろう。
ロボタクシー市場の競争は、米国と中国の国内から世界へと舞台を移している。WeRideが日本ロボタクシー市場を狙う動きは、その流れが日本にも及び始めたことを示すものと言える。













