
米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)が、サンディエゴ・ラスベガス・タンパ・デンバーの4都市で完全無人ロボタクシーの展開を明らかにした。まずラスベガスで運転席に人がいない状態での走行を始め、残る3都市がこれに続く。これまで1都市ずつ慎重に広げてきた同社が、4都市の無人化を一度に打ち出すのは初めてとなる。
発表は2026年7月8日から9日にかけて。当初はウェイモ社員向けに走らせ、順次一般利用へと開放していく。これで同社が完全無人サービスを手がける都市は既存の10都市超に4都市が加わる規模となり、年末に掲げる週100万回という目標が視野に入ってきた。
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■完全無人の自動運転タクシーが4都市で展開へ
米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)が、サンディエゴ・ラスベガス・タンパ・デンバー of 4都市で、運転席に人を置かない完全無人ロボタクシーの展開に踏み出す。同社の発表によれば、まずラスベガスで無人走行を開始し、デンバー・サンディエゴ・タンパがこれに続く。4都市を一斉に稼働させるのではなく、ラスベガスを皮切りに順次無人化していく形だ。
いずれの都市も、当初はウェイモ社員向けの提供から始まる。その後に一般利用へと開放していく段取りで、公式には一般向けの具体的な時期は示されていない。つまり現時点は、安全担当者が同乗する実証段階から、商用の無人サービスへと切り替わる入り口にあたる。
ロボタクシーのニュースを読み解くうえで欠かせないのが、商用サービスなのか実証段階なのか、無人なのか補助員同乗なのか、そして走行エリアがどれだけ難しい場所なのかという観点である。今回のウェイモは、補助員が同乗しない完全無人へと移る点が核心だと言える。ただし各都市の状態には差があり、無人走行が実際に始まったのはラスベガスが先行、他の3都市はこれからという段階にある。
実証から無人商用への移行こそ今回の核心である。1都市ずつ積み上げてきたウェイモが4都市を一度に打ち出した意味は大きい。稼働はラスベガス先行だが、無人化の裾野が一気に広がる転換点と言える。
【参考】関連記事としては「テスラvsWaymoのロボタクシー マイアミで直接対決へ 勝者は?」も参照。
■ウェイモの拡大ペースが加速
今回の4都市が加わることで、ウェイモが完全無人サービスを手がける都市は既存の10都市超に上乗せされる。同社がすでに無人で走らせている地域には、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルス、オースティン、アトランタ、マイアミ、ダラス、ヒューストン、サンアントニオ、オーランドなどが並ぶ。ここに新たな4都市が続く格好だ。
注目すべきは拡大の速さである。ウェイモはこれまで、1都市ずつ時間をかけて広げてきた。今回はその慣行から踏み出し、4都市の無人化を一括で打ち出した。同社は年末までに週100万回という目標を掲げており、今回の展開はその達成に向けた大きな一歩になる。共同最高経営責任者のテケドラ・マワカナ氏は、週100万回を事業の変曲点と位置づけている。
この加速を支えるのが潤沢な資金だ。ウェイモは2026年2月、1,260億ドルの企業価値評価で160億ドルを調達した。自動運転企業への投資としては過去最大規模で、都市単位の拡大に充てられている。累計の自動運転走行は2,000万回を超え、初の海外市場となるロンドン、続く東京での展開も予定に入っている。
【参考】関連記事としては「ロボタクシー争奪戦へ Google自動運転車ウェイモがドイツ進出へ」も参照。
■ラスベガスで始まるAmazonのZooxとの競争
今回無人化が先行するラスベガスは、ロボタクシーの競争が集まる場所になりつつある。ここではウェイモだけでなく、Amazon傘下の自動運転開発企業Zoox(ズークス)も存在感を強めている。ZooxはライドシェアのUberと今年提携を発表しており、ラスベガス周辺で無人サービスの足場を固めつつある。
競合はZooxだけではない。自動運転開発企業Motional(モーショナル)もUberとの提携を打ち出しており、ラスベガス周辺には無人ロボタクシーの担い手が集まりつつある。ウェイモの完全無人稼働開始によって、この地域はロボタクシー市場の主要プレイヤーが顔をそろえる主戦場になっていくと言える。
競合の実態には差もある。もう一つの有力企業である米EV大手Tesla(テスラ)は、オースティンを中心に展開しているものの、無人車両は20台規模にとどまるとの第三者集計がある。Teslaは大規模な拡大を運転支援ソフトFSDの次期版の投入と結びつけており、時期は2026後半から2027年初頭が見込まれている。都市単位で無人化を積み増すウェイモの速さが、あらためて際立つ。
【参考】関連記事としては「テスラ ロボタクシー1周年、でもまだ20台という惨劇」も参照。
■韓国ヒュンダイのIONIQ 5を新たな車種に加える
拡大を支えるのが、複数の車種を組み合わせる体制である。デンバーなど寒冷地に投入されるのが、専用設計の車両Ojai(オーハイ)だ。ウェイモの第6世代自動運転システムを積んだ青いSUVで、同社が既存の市販車を改造するのではなく、初めてゼロから設計した車両とされる。雪道での走行を想定し、シエラネバダやミシガン、ニューヨークで走り込みを重ねてきた。
さらにウェイモは、韓国Hyundai(ヒュンダイ)のIONIQ 5を新たな車種として加える。こちらはまだ完全無人ではなく、自動運転の専門家が同乗する検証段階にある。新しい車両で完全無人に移る前に技術を確かめる工程だ。IONIQ 5は米ジョージア州にあるヒュンダイの工場で組み立てられ、その後にウェイモの自動運転技術を搭載する。
安全性についても、ウェイモは実績を示している。同社の分析によれば、2026年3月末までに2億2,000万マイルを超える完全無人走行を積み重ねた。同じ地域・同じ期間の人間のドライバーと比べ、重大または死亡につながる事故が94%少なかったという。エアバッグが作動する事故は82%減、報告された負傷を伴う事故も82%減としている。いずれも過失がどちらにあるかを問わない比較だ。
一方で、拡大に伴う課題も表面化している。2026年6月には工事区域への進入を理由に約3,900台がリコールされた。米道路交通安全局NHTSAは、緊急対応車両への干渉が繰り返される問題について、7月末までに解決策を示すよう業界に求めている。安全データが示す明るい面と、規制の目が強まる現実の双方を見ておく必要があると言える。
■4都市の無人化が示すウェイモの次のステージ
1都市ずつから4都市の一括発表へ。今回のウェイモの動きは、拡大の作法そのものが変わったことを示している。稼働はラスベガス先行で、残る3都市は順次という段階的な展開ではあるが、無人化の対象を一度にこれだけ広げた例はこれまでになかった。
背景には、160億ドルの調達と車種体制の整備、そして人間を上回る安全データがある。年末の週100万回という目標も、拡大ペースを見れば現実味を帯びてきた。同時に、リコールや規制当局の要請といった逆風も無視できない。無人サービスが社会に根づくには、安全と信頼を積み重ね続ける必要がある。
それでも、4都市の無人化はロボタクシー市場におけるウェイモの独走をあらためて印象づける出来事だと言える。ラスベガスで始まる競合の構図も含め、自動運転タクシー市場は次のステージへと入りつつある。今回の一手は、その入り口を示すものと言えるだろう。













