トヨタも出資する中国の自動運転スタートアップPony.ai(小馬智行)が、ヨーロッパのルクセンブルクに進出するようだ。
2024年3月6日にルクセンブルク政府と、自動運転モビリティ開発を推進するための覚書を交わしたという。中国や米国で自動運転開発を進めている同社だが、今後のターゲットをヨーロッパに据えたとみられる。
■ルクセンブルクとの提携内容
今回の覚書は、Pony.aiの共同設立者兼CEO(最高経営責任者)であるジェームズ・ペン氏とルクセンブルクの経済大臣により署名された。自動運転車の研究開発や配備を促進するにあたり、提携していくという内容になる。
Pony.aiはルクセンブルクのイノベーション機関であるLuxinnovationや地元関係者の支援のもと、最先端の自動運転技術の開発を行う拠点を設置する。この拠点が他の欧州諸国への進出に向けてのハブにもなるという。
ルクセンブルクのLex Delles経済大臣は「インテリジェント・モビリティ部門は、ルクセンブルク経済の多角化に関する優先事項の1つとなっている。我々の目標は、ルクセンブルクを欧州規模での自動運転分野のパイオニアにすることだ」とコメントしている。
また今回の提携を「Pony.aiの技術的専門知識とルクセンブルク政府の政治戦略との相乗効果を生み出すための重要な一歩」と位置づけ、これにより技術開発や雇用創出、持続可能な経済成長を促進することを目指すという。
■トヨタと関係が深いPony.ai
GoogleとBaidu出身の2人により2016年に設立されたPony.aiは、自動運転の領域でトヨタ自動車と提携することを2019年8月に発表した。2020年2月には、自動運転開発の加速に向けトヨタから4億ドルを調達している。
2023年8月には、Pony.aiとトヨタ自動車(中国)投資有限公司(TMCI)、広汽トヨタ自動車(GTMC)の3社で合弁を設立することを発表した。新会社がトヨタブランドのBEVをPony.aiに提供し、自動運転タクシーを量産化していく計画となっている。
米国においては、2021年5月にカリフォルニア州で完全無人自動運転の走行ライセンスを取得している。しかしその後、公道実証中の事故が原因となりライセンスを停止された。さらに2022年5月には、セーフティドライバー付きの自動運転走行ライセンスも停止された。報道によると、ライセンス更新に向けPony.aiの報告者を精査した際、運転記録に多数の違反が見つかったことでDMV(カリフォルニア州車両管理局)が許可を停止したという。
2024年3月現在は、セーフティドライバー付きでの走行ライセンスを許可されている状態だ。
■次のターゲットはヨーロッパか?
米国での開発はあまりうまくいっていないような印象を受けるPony.aiだが、今後の重点ターゲットを欧州に変更したのだろうか。欧州は、自動運転開発のトップランナーと言える米Google系Waymoもまだ進出していないエリアになる。
トヨタとの協業も含め、Pony.aiの今後の動向に引き続き注目したい。
【参考】関連記事としては「トヨタ、中国で自動運転タクシーを本格量産へ Pony.aiと合弁設立」も参照。