米EV(電気自動車)大手テスラの自動運転タクシー事業の市場価値が、将来的に8,700億ドル(約123兆円)になるという予測が発表された。カナダの投資銀行「RBCキャピタル・マーケッツ」が試算したものだ。
発表によれば、自動運転タクシー事業の価値だけで、将来的にテスラ全体の70%を占めるようになる可能性があるという。
ちなみにGoogle系WaymoやGM Cruiseはすでに自動運転タクシー事業を展開しているが、テスラは現在まだ展開できていない。
■自動車業界に革命を起こす自動運転タクシー
RBCキャピタル・マーケッツのレポートでは、自動運転タクシーの登場は自動車業界に革命をもたらし、多くの問題を解決する可能性があると指摘している。
交通事故のほとんどはヒューマンエラーによるものだが、自動運転タクシーは事故を大幅に減らし、何百万人もの命を救うことができ、また都市部における駐車スペースの問題や過剰なアイドリングの抑制にも貢献できるとしている。
またリポートでは自動運転タクシーの出現後、世界中の多くの都市で自家用車の使用が禁止される可能性があると推測している。規制当局の承認が得られた場合、2035年までにロボタクシーの1台のコストは5万ドル(約700万円)になり、1台のロボタクシーが自家用車5台に取って代わる可能性があるとも言及している。
■テスラタクシーの普及率は米国で25%に?
レポートでは、テスラのロボタクシーの普及率にも言及している。控えめに見積もっても将来的に米国で25%、西ヨーロッパで8%、中国で7%になるという。では実際、テスラはいつ自動運転タクシーサービスを実現するのだろうか。
同社CEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏は2019年4月に、2020年半ばに自動運転タクシーサービス「TESLA NETWORK」(テスラネットワーク)を開始すると発言している。ただし、「2020年中に自動運転タクシー100万台を稼働させる」とも宣言したが、実現には至っていない。
またマスク氏は2023年5月、米メディアのインタビューで「自動運転システムをアップグレードすることで、ロボタクシーに必要な技術レベルを達成したい」とコメントしている。
ちなみにテスラが現在リリースしている機能は、自動運転レベル2相当のADAS(先進運転支援システム)であるAutopilotとFSDとなっている。FSDについては今後のアップグレードで完全自動運転機能を実装することが目指されている。
■未実現でも大きな関心が集まっている状況
テスラの自動運転タクシー計画がいつ実現するのかは不透明だが、RBCキャピタル・マーケッツのように、将来の実現に大きな関心が集まっていることは確かだ。テスラの今後の動向に注目だ。
【参考】関連記事としては「テスラに隠し機能「イーロンモード」!?有名ハッカーが暴露」も参照。