百貨店の裏側で「自動運転ロボ」がメール便を無人配送していた!

QBIT Robotics開発のAMRを活用



出典:QBIT Roboticsプレスリリース

大阪の百貨店「阪急うめだ本店」のバックヤードで、自動運転配送ロボットを用いたメール便配送の実証実験が行われていたことが発表された。

実証は、株式会社ワールドサプライ(本社:東京都江東区/代表取締役社長:坂上公彦)と株式会社QBIT Robotics(本社:東京都中野区/代表取締役社長:中野浩也)により、2023年5月29日〜6月9日に行われた。


なお、ワールドサプライはSGホールディングスグループで百貨店・大規模小売店向けの納品代行や館内物流を、QBIT Roboticsはサービスロボット全般のシステム設計や導入、運用支援などを手掛ける企業だ。

■バックヤードでメール便を自動配送

今回の実証では、多くの人が行き交う商業施設のバックヤードにおいて、人混みの中でもメール便の自動配送を行うことができるのかを検証した。

具体的には、ロボットに内蔵されたセンサーを用いて配送先の各事務所の停止位置やトイレなどの減速箇所を事前にマッピングし、メール便の入ったバッグを各フロアエレベーター前でロボットに積み込み、3階と5階にある計4カ所の事務所へ配達した。

各事務所に到着すると、ロボットが事務所スタッフへショートメッセージで通知し、ロボット上部のタッチパネルを操作しバッグを受け取るという流れになっている。


■QBIT Roboticsの「DR1」を活用
出典:QBIT Roboticsプレスリリース

実証で用いられたのは、QBIT Roboticsが開発したAMR(自律走行型搬送ロボット)「DR1」だ。社会のあらゆるシチュエーションにおいて、人と協調的に作業が行えるロボットとして開発されている。

このロボットには自動扉付きのコンテナ2つが搭載されており、1回の配送で2カ所への配送ができる。また、コンテナの数を増やすことも可能なようだ。エレベーター乗降モードも搭載している。

サイズは幅504×高さ1,200ミリ、最大積載重量は40キロ、連続運転時間は7時間となっている。商業施設やオフィスのほか、高層マンションやカラオケ店での活用も期待されている。

■2018年設立のQBIT Roboticsとは?

2018年設立のQBIT Roboticsは、サービス業向けロボットパッケージ開発のほか、ロボット導入支援・コンサルティングを手掛けている「ロボティクスサービスプロバイダー」だ。


同社の「ロボットカフェパッケージ」は、アームロボットが働くオールインワン・パッケージのKIOSKタイプのカフェだ。ロボットが店員となり、集客や接客を行い、ドリンクを作って提供する。QBIT Roboticsは、ロボットやカフェマシン、サービスカウンターなど、組み合せ動作の完成したセットの提供を行っている。

ちなみにこのロボットカフェは、東京都と長崎県の「変なカフェ」で活躍している。そのほか、養老乃瀧が手掛ける「ゼロ軒めロボ酒場」、JR大宮駅の「パスタロボット」などでも期間限定で採用された。

■商業施設での配送業務などを支援

QBIT Roboticsは2021年6月に森トラストと、異種複数台の自動搬送ロボットとロボットアームを用いた館内配送集荷サービスの実証実験を共同で行った実績がある。西濃運輸や佐川急便などの協力により、実際の荷物を使い、その大きさと届け先に適した自動搬送ロボットを自動選択した上で配送集荷を行うという内容であった。

この取り組みは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス技術開発事業」の補助を受けて行われたものだ。

今回の阪急うめだ本店での実証結果をもとに、ワールドサプライとQBIT Roboticsは、商業施設内における配送業務などの店舗支援サービスのさらなる拡大に努めていくとしている。今後の取り組みにも注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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