EV(電気自動車)大手のテスラが提供するADAS(先進運転支援システム)である「FSD(Full Self-Driving)」のβ版において、隠し機能「Elon Mode(イーロン・モード)」が見つかったようだ。
テスラ関連の米ニュースサイトが報じている。発見したのはテスラの秘密を研究している有名ハッカーのGreen氏(Twitterアカウント:@GreenTheOnly)で、この隠し機能について「イーロン・モード」と名付け、Twitterで紹介して話題になっている。
まだ一般公開されていないイーロン・モードとは、一体どんな機能なのだろうか?
Impressions after nearly 600 miles on 11.4.3 with Elon mode (could not get a non-Tesla car to try in time).
It went much better than the prior experiment obviously.
Many contributing factors. I was not as late so I did not mind as much (still ended up 5 minutes late solely— green (@greentheonly) June 17, 2023
■隠し機能「イーロン・モード」とは?
テスラ車のドライバー・モニタリング・システムは、「ナグ」という機能で知られている。これは、ドライバーが道路へ意識を集中するよう警告を発し、ドライバーが一定間隔でハンドルに圧力や抵抗を加えることで、注意を払っていることを示すという機能だ。
しかし報道によれば、イーロン・モードではナグ機能がさらに高度なドライバー・モニタリング・システムに切り替わるという。内部カメラを用いて、ドライバーが常に前を向いているか、他に気を取られていないかを監視するという、より高度なシステムとなっている。
なおナグ機能については、テスラCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏が2023年4月にTwitterで「安全性の向上に比例して、徐々に減らしていく」とコメントしている。
■「1万5,000ドルの価値はある」
Green氏は、イーロン・モードで走行した実体験を動画とともに報告している。コンピュータービジョンベースの高度なシステムにより、煩わしさのない贅沢なドライブを楽しめたという。
また同氏によると、車線を不規則に変更したり、走行速度が遅くなったりといったFSD特有のイライラする動きが目立たなくなることにも気づいたという。
Green氏はFSD β版のこの機能により、人間の介入無しで2地点間を自動運転で移動できる可能性がかなり高いということを指摘している。
さらにもしこの技術がレベル3の自動運転システムとして提供され、ドライバーがシステム作動中に常に注意を払う必要がなくなるのであれば、過去のFSDの価格である1万5,000ドル(約200万円)の価値はあるだろうとも話している。
■無理な車線変更をする可能性も?
なおGreen氏はイーロン・モードの欠点も指摘している。システム側が車線変更を自由にできるようになると、他のドライバーから悪感情を持たれる可能性があるという点だ。イーロン・モードが無理な車線変更をする可能性があるということだろうか。
このイーロン・モードがリリースされるのはいつになるのか、マスクCEOのコメントが待たれる。同氏が何度も語っている「完全自動運転は近々実現する」ということは、もしかしてこのイーロン・モードのローンチを示唆しているのかもしれない。
【参考】関連記事としては「テスラの自動運転技術(2023年最新版)」も参照。