自動運転企業LexxPluss、「人手不足がさらに深刻」な米国に照準

インディアナ州での新オフィス設立を発表



自動運転技術や自動搬送ロボットを開発する株式会社LexxPluss(本社:神奈川県川崎市/代表取締役:阿蘓将也)は2023年6月23日までに、米国での事業拡大に向け、インディアナ州フィッシャーズに新オフィスを開設したことを発表した。


日本よりも人手不足は深刻になっている米国において、ニーズを早期に製品開発に反映させ、世界的なスケールでソリューションを提供することが狙いだという。

自動運転技術に対するニーズは人手不足が顕在化している国であるほど高くなることから、LexxPlussの米国事業の拡大は理にかなっていると言えそうだ。

■製造・物流従事者の減少が深刻な社会問題
出典:LexxPluss公式サイト

LexxPlussは、シリーズAラウンドで約14億5,000万円の資金調達を実施し、米国進出することを2023年3月に発表している。それにあたり、ニュージャージー州ニューアークに米国法人を同年2月に設立している。

同社によると、米国では移民の減少やコロナ禍後の労働への意識の変容などで、製造・物流従事者の減少が深刻な社会問題になっているという。また米国の自律走行搬送ロボット市場の規模は、2021年は日本の約30倍の7億6,200万ドル(約1,080億円)で、2028年までに32億ドル(約4,500億円)規模まで拡大することが見込まれているという。


■パートナー候補の拠点が多数あるエリア
出典:LexxPlussプレスリリース

今回LexxPlussが新オフィスを設立したフィッシャーズは、インディアナ州に点在する工業地帯へのアクセスが良く、さらにケンタッキー州やオハイオ州、イリノイ州などの製造業が集積するエリアにもアクセスしやすい。

同社は、自社製品の設計・製造・運用に関する技術情報を無償公開しながら、産業パートナーとその自動化技術を共同利用する「オープンパートナーシッププログラム」を運営している。今回オフィスを開設したのは、そのパートナー候補の拠点が多数あるエリアでもある。

この立地を生かし、より早く顧客に搬送課題解決に向けたソリューションを提供していくという。

なおLexxPlussは今回の米国オフィスの設立に伴い、地元の商工会議所やフィッシャーズ地域のコミュニティ・ボードに参加し、地域の経済成長と発展に貢献していくとしている。


■ボッシュ出身の阿蘓氏が2020年3月に創業

LexxPlussは、独ボッシュで自動運転開発に携わっていた阿蘓氏が2020年3月に創業したベンチャー企業だ。同氏は、日本のモビリティ開発有志団体Deep4Driveの代表でもある。

LexxPlussは次世代自動搬送ロボット「Hybrid-AMR」のほか、ロボット走行管理システム「Konnectt」や自動移載システム「Luft-Conveyor」の開発を手掛けている。

Hybrid AMRは、自動運転と同様に自律的に障害物を検知・迂回できるAMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)技術と、繰り返し精度と作業スピードを保証できるAGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)技術を併用できる自動搬送ロボットだ。

米国進出により同国市場での製品展開をスタートし、パートナー企業もグローバルに拡大し、現在30社から今後2年間で100社にすることを目指す。また、国内の製造・試験拠点を1カ所から3カ所に増やし、2年間で自動搬送ロボットの生産規模も年間1,500台まで拡大する予定となっているという。

■日本の自動運転ベンチャーがアメリカに照準

日本の自動配送ロボベンチャーLexxPlussが、米国で本格的に動き出す。日本より人材不足が深刻化している米国に注目する同社に引き続き注目だ。

【参考】関連記事としては「自動配送ロボベンチャーLexxPluss、14.5億円調達し米国進出」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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