イーロン・マスク氏「自動運転化、もうすぐ解決」、今度こそ本当?

「自動運転こそが価値の原動力」とも発言



テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Ennoti (Public Domain Mark 1.0)

米EV(電気自動車)大手テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏が、また強気な発言をした。「以前にも言ったことがあるが、自動運転化はすぐに解決すると思う」という内容だ。

テスラが完全自動運転車を実現するのは近いのか。


【参考】関連記事としては「テスラの自動運転技術(2023年最新版)」も参照。

■「会社の価値は主に自動運転を基盤」

冒頭紹介した発言は、フランス・パリで開催された欧州最大規模のスタートアップ・テックカンファレンス「Viva Technology 2023」において、マスク氏が2023年6月16日に語った内容だ。米メディアが報じている。

これまで何度も「自動運転は近く実現する」といった趣旨のコメントを発しているマスク氏だが、いまだ実現はされていない。自動運転ラボでは何度も同氏の発言について取り上げているのだが、今度こそは現実のものになるのだろうか?

またマスク氏はカンファレンスで「会社の価値は主に自動運転を基盤としている」とし、「それこそが我々の価値の主役(原動力)だと思う」と発言した。


■現在はレベル2の機能を展開

テスラの現状を整理すると、展開している機能は「Autopilot(オートパイロット)」と「FSD(Full Self-Driving)」のβ版であり、それぞれ自動運転レベル2相当のADAS(先進運転支援システム)となっているため、自動運転機能はまだリリースできていない。

米メディアによると、この点についてテスラ側は「これらの機能は、時間の経過とともにより高性能になるように設計されている。しかし現在有効な機能は、自動運転可能なものではない」としている。

また「現在の機能の稼働中はハンドルから手を離さずにいることが必須で、いつでも人間による運転に切り替えられるように設計されたものだ。ドライバーは、常に注意深くしている必要がある」とも説明している。


■マスク氏のこれまでの発言

イーロン・マスク氏の過去の発言を振り返っておこう

マスク氏は2019年4月に、2020年半ばにドライバーレスの自動運転タクシーサービス「Tesla Network」を開始する計画を明かしたが実現されず、その後、2022年4月に自動運転タクシーを2024年までに市場投入すると語っている。

2020年7月には、自動運転レベル5の完全自動運転について「近く実現するだろう」と語った。さらに同年12月には「2021年にはテスラの顧客に完全自動運転車を届けることができるだろう」と語った。

また2022年8月には、年内に自動運転車を米国と欧米で展開すると発言、2023年4月には年内に完全自動運転を実現することを宣言している。

しかし同氏のこれまでの発言について、今のところ実現していないのが実情だ。

■実現がいつになるのかは不透明

マスク氏の過去の数々の発言からは、テスラが完全自動運転を目指しているのがよく分かる。ただし、実現がいつになるのかは現在も不透明だ。行方を見守りたい。

【参考】関連記事としては「今度こそ本当?テスラ「年内に完全自動運転を実現」宣言」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事