別タイプの自動運転ロボ、最大100台を「群制御」!オムロンの先見性

実運用における効率性を極める視点



出典:オムロンの過去のプレスリリースより

自動運転ロボット開発が進む中、最近ではロボット開発そのものとともに、導入後の実運用における活用の効率性を高める視点も求められ始めている。

例えば、オムロン株式会社(本社:京都府京都市/代表取締役社長CEO:辻永順太)が開発したコントローラ「Fleet manager」は、さまざまな可搬重量の自動運転ロボットでも最大100台、まとめて運行管理を行うことができる。いわゆる「群制御」に強いシステムだ。


この群制御の技術は自動運転ロボットの導入が進んでいく中、さらに重要性を増してくる。可搬重量が異なるロボットごとにマップや作業内容などの各種設定を行う必要があると、かなりの手間となってしまうからだ。

■異なる種類のロボットでも最大100台を一括管理

オムロンは、人の代わりに資材や部品を運搬し、生産性向上を大きくサポートするモバイルロボットを開発している。障害物を避け自律走行を行い、人がいる現場にも導入可能となっている。

Fleet Managerは、同じ現場に属する最大100台のモバイルロボットの協調動作を行うことができる。可搬重量が異なるモバイルロボットに対し、近くの他のモバイルロボットの位置や経路を知らせることで、モバイルロボット同士の接触やお互いの走行干渉を避けることができるという。それにより、複数のロボットが混在し同時に作業することが可能になる。

また、各ロボットに対してのマップと設定情報の更新管理では、集中制御ポイントから通信し、最新データにアップデートする。それぞれに対して設定作業の必要がなく、ミスの発生もおさえることができる。


さらにFleet Managerには、呼び出し機能や外部の設備管理システムからジョブリクエストを受け取り、フリート内のモバイルロボットにそのジョブを振り分けるキューマネージャ機能も装備されているという。

■独自の障害物回避アルゴリズムにも注目

オムロンはこれまで、モバイルロボットのほかロボット統合システムや協調ロボット、産業ロボットを開発してきた。2022年10月には、同社のモバイルロボット「LDシリーズ」と「HDシリーズ」が、「第10回ロボット大賞」の経済産業大臣賞を受賞した。

【参考】関連記事としては「地図を自分で作る!オムロンの自動運転ロボに栄誉」も参照。

オムロンの最新作は、2023年7月17日から国内で発売を開始した中可搬重量域のモバイルロボット「MD-650」だ。これは、同社がこれまで展開してきた60~1,500キロまでのラインナップにおいて、中可搬重量域の650キロに対応している。中可搬重量域でトップレベルの搬送スピードと、独自の障害物回避アルゴリズムによる高速で安全な搬送を実現したロボットになるという。


出典:オムロン・プレスリリース

オムロンは今後、MD-650をグローバルに向けても販売していく予定だ。また、2023年度中に900キロまでの中可搬重量域のモデルも追加し、ラインナップをさらに強化していくという。

■ロボティクス分野でも活躍するオムロン

「ロボットアプリケーションで自働化を自在にし、人の可能性を開放する未来のモノづくりを創造」というテーマでロボティクス分野でも活躍するオムロンの今後に、引き続き注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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