Google系Waymoが自動運転車の製造を中国企業に委託していたことが、2022年11月22日までに判明した。中国企業に委託したのは、ハンドルもペダルもない新型ロボタクシー専用車で、委託先の中国企業は中国の浙江吉利控股集団(Geely)だ。
報道によると、Waymoの新型ロボタクシー専用車は、GeelyのプレミアムEV(電気自動車)ブランド「Zeekr」で製造される。Googleが自動運転車の製造を中国企業に委託したことは、「国VS国」の構図が鮮明だった自動運転業界にどのような影響を与えるのか。
■「完全ドライバーレス」を前提
Waymo社は現在、カリフォルニア州とアリゾナ州でロボタクシーを実用化している。自動運転車の開発でベースに使用しているのはクライスラーの「パシフィカ・ハイブリッド」またはジャガー「I-Pace」の市販車で、自動運転機能を後付けしている。
Zeekrが製造する自動運転車には、ハンドルもブレーキペダルなど人間のドライバーが関与できるパーツがなく、「完全ドライバーレス」を前提としているようだ。もちろん車両はEV仕様だ。
車両は5人乗りで、車内にはスライドドアをオープンして入る。前後の座席にはどちらもタッチスクリーンが配備されており、目的地の設定やエンターテインメントを楽しむことができるようになっているという。
海外メディアが外観の特徴として伝えたところよると、LiDARが前方と後方、各コーナーに計6つ搭載されている。屋根には非常に大きな「Sensor Suite」(センサー・スーツ)が設置されており、さまざまなセンサーが備えられているようだ。
■土台は「SEA-Mアーキテクチャー」
ちなみに今回のWaymoの新型車は、Geelyの「SEA-Mアーキテクチャー」が活用されている。SEA-Mアーキテクチャーは、要は独自開発した車両のシャーシ(※車両下部の車台部分のこと)のことを指し、上部ボディとの組み合わせで自動運転車にも無人物流用車両にもアレンジできるという。
GeelyはこのSEA-Mアーキテクチャーを活用し、さまざまなタイプの自動運転車を展開するとみられている。
ちなみにWaymoとGeelyは2021年12月、自動運転タクシーサービス「Waymo One」向けの新EV車両を開発することを発表していた経緯がある。
■Waymoの動向に今後も注目
Waymoによると、今回のGeelyとのコラボレーションによるドライバー要らずの新型自動運転車は、数年以内に本格的に商業利用し始めるという。自動運転業界のリーディング企業とも言えるWaymoの動向に、今後も注目だ。
【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転戦略(2022年最新版)」も参照。