米道路安全保険協会(IIHS)はこのほど、自動運転に近いADAS(先進運転支援システム)に関する興味深いアンケート調査を実施した。
アンケート対象者はADAS機能を搭載した車のオーナー。具体的には、GMの「スーパークルーズ」、日産の「プロパイロット」、テスラの「オートパイロット」を利用しているカーオーナーだ。
アンケート調査の結果、どのメーカーのADASのユーザーでも、ADAS機能作動中は運転席で食事やメールをするなど、運転とは関係ない動作を行う傾向にあることが分かったという。
IIHSは、ADASを信用しきっているか、もしくは機能を過大評価しているカーオーナーが多いと分析している。
▼調査結果(※英語)|Habits, attitudes, and expectations of regular users of
partial driving automation systems|IIHS
https://www.iihs.org/api/datastoredocument/bibliography/2261
■システムの限界を理解していない人々
ADASは自動運転レベルで言うとレベル1〜2に相当する。つまり、運転の主体はあくまで「人間」であり、ADASはあくまでドライバーの運転操作を「支援」するシステムだ。そのため基本的にはADASは、ドライバーが運転とは別の動作をできるように開発されてはいない。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?定義・呼称・基準は?(2022年最新版)」も参照。
IIHSのDavid Harkey社長は今回のアンケート調査の結果について、「システムの限界についてまだよく理解していない人々が多いようだ」と苦言を呈しつつも、「マーケティングなどにより、ユーザーの誤解を招いている可能性もある」とも指摘している。
確かに、日本においてもアメリカにおいても、自動運転ができないのに「自動運転(Autonomous Driving)」といった用語を使った宣伝文句が使われていることが、過去も現在も問題視されている。
運転支援システムの高度化は歓迎すべきものではあるが、ADASはあくまでドライバーを支援するものであることを忘れてはならないと、Harkey社長は強調している。
■企業横断型で取り組んでいくべき課題
ちなみにこの調査では、GMのスーパークルーズで53%、テスラのオートパイロットで42%、日産のプロパイロットで12%のオーナーが、「自分の車を自動運転車や完全自動運転車として扱うことに抵抗がない」としていることも分かったという。
自動運転技術やADASのレベルの高さや低さの問題とは別に、カーオーナーが使用しているシステムを正しい理解できているかどうかは、事故防止の観点からも非常に重要なことだ。誤解を招いている状況は、業界全体で企業横断型で取り組んでいくべき課題と言える。
【参考】関連記事としては「自動運転車の取り扱い「女性の方が上手」 英大学調査」も参照。