中国の上海市が、2025年までに自動運転産業を5,000億元(約10兆3,000億円)規模の産業に成長させる計画を立てていることが明らかになった。香港で発行されている英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」などの報道で判明した。
■生産車両の70%をレベル2〜3に
上海市人民政府総局は9月5日にインテリジェントカー産業の振興計画について発表し、サウスチャイナ・モーニング・ポストが入手した計画の詳細案によれば、2025年には、生産される自動車の70%以上に自動運転レベル2〜3のシステムを搭載させる計画だという。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?」も参照。
ちなみに、現時点での上海市における自動運転産業の規模は1,000億元(約2兆600億円)未満だとされている。
■「政府指導資金」で民間企業を支援
自動運転産業の拡大に向け、上海市内に拠点を有する企業や研究機関に対し、車載用の半導体チップやAI(人工知能)アルゴリズム、自動運転OS、センサーなどの開発を強化することを求めていくという。
また計画では、自動運転開発企業に対する支援を増やすことも明記されている。「政府指導資金」(サウスチャイナ・モーニング・ポストでは「government guidance funds」と表現されている)といった名目で、各企業に対して財務支援を行うようだ。
そのほか上海市は今後、民間企業が公道で自動運転実証をしやすいよう、さらに規制緩和などを進めていくことが予想される。
■中国の関連企業はにんまり?
上海市のこの計画は、中国の自動運転関連企業にとっては間違いなく追い風となる。
中国で自動運転業界を引っ張る検索大手・百度のほか、AutoX、WeRide、Pony.ai、Momenta、DiDi、Deeproute.ai、そしてEV開発企業のNIOやXpengなども今回の上海市の発表に頬を緩めたに違いない。
自動運転は「官民」の連携が必須となるビジネス領域だ。規制緩和や国の理解なくして実証実験や実サービスの展開を進めるのが難しいからだ。
完全無人の自動運転タクシーも走り始めている中国。次から次へと、欧米そして日本の自動車業界を戦々恐々とさせる発表をしてくる。
【参考】関連記事としては「中国の自動運転タクシー事情(2022年最新版)」も参照。