どのくらいの金額までなら、高速道路向けの自動運転機能を利用したいか——。こうしたことを調べた調査が、2022年4月4日までに公表された。調査したのは、矢野経済研究所だ。日本・アメリカ・ドイツ・中国の消費者に対して調査を行い、傾向を分析している。
■日本・米国・ドイツは「5万円未満」が最多
調査対象となったのは、4カ国において自動車運転免許を取得し、かつ世帯で自動車を保有する20歳以上の男女。調査は2021年10〜12月に実施された。
この調査では、「次回自動車購入時、オプション機能として高速道路における自動運転システムを搭載できる場合に、支払い可能な金額」について調査対象者に質問しており、以下のような結果となった。
日本、米国、ドイツは「5万円未満」と回答した割合が最も多く、日本56.0%、米国42.8%、ドイツ37.6%だった。中国では「10万〜30万円未満」と回答した割合が最も多く34.2%だった。
■「平均年収差」にも注目してデータを読み解こう
各国の消費者がどれだけ自動運転システムにお金をかけるかは、自動運転機能をどれだけ使いたいかを調べる上で貴重なバロメーターとなるが、国によって所得水準が異なるため、先ほどのデータだけで「自動運転機能をどれだけ使いたいか」を判断するわけにはいかない。
OECD(経済協力開発機構)によると、2020年の平均年収は日本が約472万円、米国が約850万円、ドイツが約660万円となっており、自動運転機能に支払える金額が「5万円未満」の場合、言い換えれば、日本人のとっては「所得の約1.0%未満」、アメリカ人にとっては「所得の約0.5%未満」、ドイツ人にとっては「約0.8%未満」ということになる。
日本とアメリカではパーセンテージに2倍近い差があるため、所得の差も考慮して「自動運転機能をどれだけ使いたいか」を判断すべきだと言えるだろう。
■安全性や利便性へのイメージは?
ちなみにこの調査では4カ国を対象に、自動運転に対するイメージや期待することについても調査された。
「(自分の運転と比べて)自動運転による安全性の向上」を期待しているかという質問には、「当てはまる」56.1%、「どちらともいえない」が18.9%、「当てはまらない」が25.1%となっている。日本単独でみた場合は、「どちらともいえない」の回答が29.6%と最も多かった。
また、「自動運転による生活利便性の向上」を期待しているかでは、「当てはまる」55.8%、「どちらともいえない」18.0%、「当てはまらない」26.3%となり、安全性と生活利便性の向上について聞いた結果は、ほぼ差異がなかった。
■今後、消費者の感覚・感情は変わっていく
こうした調査は現時点での消費者の感覚・感情を俯瞰する上で非常に有用なものだ。一方、自動運転に対する人々の反応は、安全技術の向上や普及度によって、徐々に変わっていくため、今後の調査で結果がどう変わっていくのかにも注目したいところだ。
▼日米欧中における自動運転の消費者ニーズアンケート調査を実施(2021年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2945
【参考】関連記事としては「自動運転車の市場調査レポートまとめ 2050年には7兆ドル規模に」も参照。