アメリカで長距離トラック輸送の90%が、将来、自動運転トラックに取って代わる可能性があるという新たな研究結果が、ミシガン大学からこのほど発表された。この90%という割合は約50万人の雇用に相当するという。
この調査結果については、トラック運転手の職を奪うという見方もできるが、そもそもアメリカはトラックの運転手不足という課題に直面していることから、業界としてはポジティブにとらえることができる調査結果であると言える。
■運転手不足が課題となっているアメリカ
米国トラック教会によると、現時点においても運転手が約6万1,000人不足している。そしてこうした状況はさらに悪化するとみられている。なぜか。
現役ドライバーの高齢化が進んでいる中、業界としては若者の担い手が増やしておきたいところだが、アメリカは国土が広いという性質上、トラック運転手の仕事がハードワークになりやすく、トラック運転手という職種は若者からあまり人気がないのが現実だ。
離職率の高さも問題となっている。現在アメリカには約330万人のトラック運転手がいるが、長距離トラックのドライバーの多くは仕事を短期で辞めてしまう。賃金が低めであることも、離職率の高さに直結している。
こうした背景があり、アメリカでは特に長距離を走行可能な自動運転トラックに対する期待感が強い。
■無人トラック技術「すでに実現可能なレベル」
アメリカでは自動運転トラックの実用化がすでに進みつつあり、その動きは加速する傾向にある。例えば、カリフォルニア州を拠点にするスタートアップのTuSimpleは、2023年末までに全米の広い範囲で、貨物を運ぶ自動運転トラックを実現することを目標にしている。
TuSimpleは2021年12月にアリゾナ州のフェニックス・ツートン間の80マイル(約128キロ)の道路で人間不在の走行を成功させた。同社のPat Dillon最高財務責任者(CFO)は「すでに商業的に実現可能なレベルに達した」と自信を口にしている。
日本でも長距離ドライバーの人手不足は深刻な課題となっているが、一足先にアメリカでこうした課題が解消されるかもしれない。
【参考】関連記事としては「自動運転トラックの開発企業・メーカー一覧(2022年最新版)」も参照。